甲斐くんと林山。その他多数 40
サプライズパーティー
「あのぉ・・・説明してほしいです。」
説明を要求する俺林山35歳。
「サプライズだよぉ!!林山おめでとう!!」
気絶した弾を起こそうとする甲斐くん。
・・・
・・・
「はっ・・・あっ・・・勘弁してください!!」
弾が目覚めたと同時に甲斐くんに土下座してる・・・
・・・
・・・パシャ。
1枚撮った。
こういうことだけはどんな状況でも体が動く。
そんなことを今日改めて自分に知らされる。
「林山ぁ、来月から正社員になるんだろ?何で言ってくれないんだよぉ!!」
土下座する弾を横目に甲斐くんが話しかけてきた。
「えっ・・・あ・・・知ってたの?」
「結構前からオーナーに相談されてたんだよ。んでさ、正社員に決まった時に戸田と2人でお祝いしようぜって話になって・・・」
戸田を見る。
クリームまみれだ。
「仕事終わりに話してたからさぁ・・・戸田が寝るんだよ・・・」
戸田を見る。
クリームまみれだ。
「そしたら俺も眠くなってきてさぁ・・・前に見せられた写メのように添い寝みたいになったってわけ。」
戸田を見る。
クリームまみれだ。
「ちなみに俺が休みに日に花屋に行くとか嘘な。」
そういやそんな話してたかな。
「戸田は1人でケーキバイキング行くみたいだけどな。」
戸田を見る。
クリームまみれだ。
「ケーキの下見と、お前に贈る花を探してたんだよ。」
だいぶ前からあった事件の真相はこういうことだったのか・・・なるほど。
「ケーキはグチャグチャになってしまったが・・・これ・・・。」
そう言うと甲斐くんは花束を俺に差し出した。
花の種類はわからないが・・・5種類の花がその束には入っていた。
花束の中の花に指をさし、説明を始める甲斐くん。
どうやらひとつひとつ花言葉を教えてくれるようだ。
「これはガーベラ。花言葉は『常に前進』、そしてこれがコチョウラン。『幸福が飛んでくる』。」
・・・
・・・
「これがサザンカ。『困難に打ち勝つ』。」
・・・
・・・ありがたいな。
こんな時って本当に言葉出ないんだな。
「そして最後のこれは・・・ご存知アサガオ。花言葉は・・・おい!!みんな集まれ!!」
甲斐くんが土下座した弾、クリームまみれの戸田、ヒゲ眼鏡の漢を集める。
・・・
・・・
35年生きてきたが、こんなに感動した日は初めてだ。
俺林山35歳・・・泣きそう。
「・・・おい林山!!お前泣いてるのか?」
甲斐くん・・・泣いてねぇよ。
「林山さん・・・35歳になって泣くって・・・ウケるんですけど。」
弾・・・相変わらずだな。
さっきまで気絶、そして土下座してたやつがよく言うよ。
「林山・・・せっかくだからクリーム舐めるか?」
戸田・・・やっぱりズレてるなぁ。
そんなことするわけないだろ?
はやくその顔・・・洗ってこい。
「後藤さん・・・」
漢・・・今はそんなノリじゃねぇよ。
1番お前がまともな人間だと思ったが・・・ある意味戸田以上のバカだな。
みんな・・・
出てきそうな涙をこらえ、最年長林山震えながら声を出した。
「あ・・・ありがとう・・・嬉しいよ。」
俺たち5人はとりあえず散らかった部屋で数十分談笑した。
そして談笑が終わり散らかった部屋を掃除する。
長い夜が終わった。
今まで生きてきた中で1番思い出に残る夜になった。