回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

『多良福』な人々 7

人間なんて・・・所詮欲求に素直な生き物さ

 

一応・・・保険をかけておこうか。

 

「戸田。おはよう。」

 

「おぉ。林山。おはよう・・・今日遅くねぇ?」

 

「ちょっとホールの人と話してたんだ。」

 

面白い話をな。

 

「ん?林山・・・どうした?ニヤニヤして。」

 

「だっ・・・大丈夫だぜ!!」

 

「んだよ・・・そのテンション。・・・気持ち悪ぃ。」

 

・・・この野郎。

 

的確なツッコミをする戸田に憤りを感じる。

 

・・・落ち着け。

 

「それより戸田ってさぁ・・・メイドとか好き?」

 

「・・・?急に何言ってるの?」

 

「いやいや・・・どうなんだろうと思ってさ。」

 

「うーん・・・別にそんなに・・・。」

 

・・・あら?

 

「どっちかって言うと・・・俺奉仕されるより、奉仕したい人間だから。」

 

「じゃあ・・・女王様がいい?」

 

「・・・いいねぇ。」

 

・・・気持ち悪い。

 

相当好きだな・・・女王様。

 

「そうだったのか・・・。」

 

どうしたものか・・・

 

・・・

 

・・・

 

・・・

 

「どうした?」

 

「今度漢がさぁ・・・お前のためにメイドになるって。」

 

「・・・どういうこと?」

 

俺は戸田に今回のことを全部話した。

 

「洗濯物語あっただろ?青の時タメ口でいいとか、やっぱダメとか話あったじゃん?」

 

「あったねぇ。」

 

「それで漢が落ち込んでさぁ・・・『戸田さんに嫌われた』って言ってたんだ。」

 

「・・・なるほどね。」

 

「それで俺が・・・戸田ってメイド好きらしいよって・・・つい言っちゃった。」

 

「何言ってるの?」

 

「そしたら漢がやる気になって、『戸田さんのためならメイドになります。』って。」

 

「・・・はぁ?」

 

「そうかぁ・・・女王様にしとけばよかったかぁ・・・。」

 

「そういう問題じゃないでしょ?」

 

またしても的確なツッコミ。

 

「そもそも漢が女王様になっても俺は嬉しくない!!」

 

確かに・・・漢は頑張っても王子様にしかなれない。

 

「そもそも漢が女王様やメイドになって現れて俺はどう反応すればいいの?」

 

・・・

 

・・・こいつ・・・知らないうちに大人になったな。

 

「戸田がどう反応するか、それに対し漢がどこまでメイドになりきろうとするのかが見たかった。」

 

「何言ってるの?」

 

・・・ダメか。

 

失敗・・・なのか・・・。

 

「・・・ちょっと面白そうじゃん。」

 

食いついた!!

 

「今何て言った?」

 

「いや・・・面白そうじゃん。」

 

・・・フフフ。

 

人間なんて所詮悪だ。

 

自分の欲求に素直なものさ。

 

「林山ぁ。俺はどうしたらいい?」

 

「・・・とりあえず今度漢と会ったらメイドになってると思う。その時のお前の感情に任せてメイドの漢をいじってやってほしい。」

 

「どうなっても知らないぞ?」

 

「構わん!!俺が許す!!」

 

こんな言葉・・・自分の口から出てくるなんてな。

 

「林山ぁ・・・楽しみだな。」

 

「あぁ全力で楽しめ!!戸田!!」

 

初めてかもしれない。

 

こんなに戸田と意気が合うなんて。

 

俺は保険をかけることに大成功した。

 

あとはメイドの漢を見て楽しむだけだ。