甲斐くんと林山。その他多数 16
やっぱ言いたかったんだね
「一応ネタできたぞ。」
厨房に入ると甲斐くんがいた。
刺身用の魚をおろしながらさらに話を続ける。
「まだ完成はしてないんだけど・・・。」
台本をもらい、目を通す俺。
・・・なるほど。
テーマは・・・結婚か。
「甲斐くん、あのさぁ・・・結婚ってテーマ俺たちから遠くない?あとこのお店と関係ない気もするんだよね・・・。」
「だよなぁ・・・。やっぱそう思う?」
「うん。できれば飲食の話とかで作ってもらえたら・・・。」
「うーん・・・。」
2人でネタの方向性を考えているところに弾と漢がおススメを聞きにきた。
「おはようございます。今日のおススメを聞きにきました。」
「おぉ・・・えっと・・・今日のおススメは・・・。」
とりあえず何でもいいからおススメを伝える俺。
「なぁなぁ、お2人さん。ちょっとこれ見てくれないか?俺が考えたネタなんだけど・・・どう思う?」
甲斐くんが台本を弾と漢に渡す。
目を通す2人。
「甲斐さん。良くできてますよ。ただ1つお聞きしたいことがあるのですが・・・。」
「何でも言ってくれよ。漢。」
「戸田さんの扱いがひどくないですか?」
「そう?そこが面白いとこなんだけど・・・。」
「漢。僕もそう思うな。この扱われ方が面白いじゃないか。」
甲斐くんと弾の意見を聞いても納得してない漢。
「そうですか・・・やっぱり戸田さんがかわいそうです。」
何かと戸田のことを気にする漢。
「なぁなぁ、戸田の扱いは別にいいとしてさぁ・・・テーマが結婚ってどう?飲食に関わる話がいいかなぁ?」
1番気になっている所を聞いてみる俺。
「まぁ・・・そっちの方がいいのでしょうけど・・・これはこれで面白いし、いいんじゃないですか?ねぇ・・・漢?」
「そうだねぇ・・・僕はテーマとかより、戸田さんの扱いを変えた方がいいと思います。」
さらに続けて話す漢。
「この台本を戸田さんに見せたのですか?」
「いや・・・まだだけど。」
・・・戸田のことはどうでもいいんだって。
こんなに戸田のこと考える人間がこのお店にいたとはな。
「漢、いったん戸田くんのことから離れないか?」
弾が俺たちの気持ちを察してくれたみたいだ。
「・・・みなさん。こんな言葉を知ってますか?」
・・・でたよ。
面倒くさいやつ。
「何?豚?それともデティール?」
・・・
・・・甲斐くん・・・先に言っちゃった。
「・・・。」
黙りこむ漢。
「2人ともありがとな。戸田のことは参考にできないけど・・・林山ぁ、とりあえずこれで何度か練習しよう。」
「そうだな。」
俺たち4人はとりあえず仕事に戻った。
あとから弾に聞いたのだが、この日漢は1日中元気がなかったそうだ。