甲斐くんと林山、たまに戸田。運命交錯編 5
お弁当の話
「ちょっとちょっと!!聞いてくれ!!」
来るなりすぐに戸田が甲斐くんに話しかける。
「なんだよぉ。うるせぇなぁ。」
いつも通りの返事をする甲斐くん。
「なぁなぁ!!聞いてくれよ!!」
「どうしたの?ところで今日は朝働いてきたの?」
相変わらずいつも通りの会話をしようとする甲斐くん。
「あぁ。働いてきた。それより聞いてくれって!!」
・・・あら。
バーコード的なお約束のくだり忘れてる。
これはどうしたものか・・・事件だな。
「今日さぁ、ここ来る前にコンビニで働いてきたんだけどさぁ・・・男に声かけられてさぁ・・・良かったら休みの日遊びに行かないか?って。」
「・・・その男の名は?」
「確か・・・漢って言ってた。」
「・・・おい見ろ林山。俺・・・鳥肌立った。」
鳥肌を見せつけられてどうしろと?
「その男・・・俺をナンパした男の1人だよ。」
「マジで!?てか何人にナンパされたの?」
「俺の時は2人だった。」
「2人!?俺・・・負けてるじゃん・・・。」
そこ気にする?
そこよりもっと気にしたほうがいいことあると思うけど・・・。
「いつナンパされたの?」
戸田が甲斐くんに問いかける。
「いつって・・・2、3日前くらいかなぁ。」
「フフフ・・・俺はなぁ・・・約1か月前くらいからずっと誘われてるのだ!!」
・・・漢というやつ根性あるな。
さすがに長すぎるだろ。
戸田が語り始めた。
「最初は『弁当温めますか?』という会話から始まったんだ。」
それは会話じゃないがな。
まぁ・・・今はそんなことどうでもいい。
「ずっと俺のほう見てくるからさぁ・・・『どうかしました?』って聞いたんだ。」
なるほどね。
「・・・あっ!!この時弁当は温めているからね。」
・・・。
「ちゃんと弁当にあった時間選んでレンジのボタン押してるから。」
・・・うるさい。
「・・・うるさい。」
言葉に出ていた。
「うるさいし、しつこい。」
ついでに言葉を足してやった。
そんな弁当の話はどうでもいいんだよ。
俺はな・・・お前と漢って男のいきさつを聞きたいのだ。
さぁ・・・早く言ってもらおうじゃないか。