甲斐くんと林山、たまに戸田。激闘編 4
お兄ちゃん
「あ~あ。どうしよう。」
かき揚げの具材を混ぜ合わせている男、甲斐くん。
「どうした?」
「たまによぉ・・・後輩できねぇかなぁって思うんだ。」
「戸田がいるじゃん。」
「・・・そうか。いるねぇ・・・俺の後輩。」
・・・
・・・
えっ!?話終わり?
「林山・・・どうするんだよ?話続かないぞ?」
「ちょっと待てって!!戸田はいなかったことにしよう・・・なっ!?」
戸田ごめん。
「最初からやり直す?」
「そこまでしないでいいだろ?」
「・・・だな。林山はどんな後輩がほしい?」
「ボケ担当でなく、俺のかわりにまともな発言をしてくれて、話の進行をしてくれるような後輩がいい。」
「仕事全く関係なくね?」
確かに。
「お前はどんな後輩がほしいんだよ?」
「そうだなぁ・・・戸田じゃなかったら誰でもいいかな。」
劇団バカをしていた頃が懐かしいよ。
「言っとくけど戸田のこと嫌いとかじゃないぜ?」
「じゃあなんで?」
「後輩には『お兄ちゃん』って言ってほしいんだ。」
・・・こいつ何言ってんの?
でも・・・ちょっと楽しそう。
のってみた。
「・・・年上のジジイが後輩になるかもしれないんだぜ?」
「逆にね。逆にそっちのほうが楽しくねぇ?」
確かに。
「あと一応言っておくが、戸田のほうがお前より年上だろ?戸田に言わせればいいだろ?」
「林山ぁ・・・また話終わらせる気?」
・・・なんだよ・・・何なんだよこのプレッシャー・・・。
「・・・すまん。」
一応謝っておいた。
「まぁ・・・いいだろう。話戻すけどさぁ、年下の後輩できて、お兄ちゃん言われても普通だろ?」
普通じゃないけどな。
「普通じゃないけどな。」
言葉に出ていた。
「お兄ちゃん!!この食器どこに片付けるんですか?」
「ジジイが言ってんの?」
「そうそう。お兄ちゃん!!床掃除終わりました。」
「くだらねぇ・・・。」
苦笑した。
「床掃除終わらせたのはジジイじゃないから。戸田だから。」
えっ!!
「戸田なの?」
「そうそう。お兄ちゃん!!明日は何時に出勤すればいいですか?」
「その発言は・・・ジジイだ!!戸田は朝から出勤することないからそんなこと聞かない!!」
「・・・正解。お兄ちゃん!!賄いの準備ができました。」
「これは・・・戸田?」
「残念!!賄いを作って準備したジジイでしたぁ。」
「戸田だって準備してくれるだろ?」
「戸田はお茶とか箸のセットだけだからな。賄いを作って準備するのはジジイでしょ?」
「・・・なるほどね。戸田はコンビニ弁当しか食べないから料理できないもんな。」
「お兄ちゃん!!お疲れ様でした。」
「それは・・・ジジイだ!!」
「・・・残念。」
「戸田がお疲れ様って言うか?あいつからそんな言葉聞いたことねぇぞ?」
「戸田でもないんだよ。」
「じゃあ誰だよ?」
・・・
・・・
「林山ぁ・・・どうするんだ?話終わってしまうぞ?」
「いやいや・・・お前のせいだから!!誰なんだよ?」
この後何度聞いても誰なのか言わなかったのは言うまでもない。