甲斐くんと林山。その他多数 9
負けるな・・・戸田。
「ちぃーす。お前ら元気にやってるか?」
戸田が来た。
休憩しているところに戸田が来た。
「なんだよ戸田ぁ。お呼びじゃねぇんだよ。」
俺林山、今は甲斐くんの話に夢中です。
なぜかって?
な、なんと甲斐くん、商店街の福引きで特賞の薄型テレビが当たったそうです。
「甲斐様。私林山にも福をください。甲斐さま~!!」
神を崇めるポーズを甲斐様にする俺、林山。
プライドなんてない、あるのは汚い己の欲望だけだ。
少しでも運を分けてもらいたい。
「当たったのなんてたまたまだぜ?やめろよぉ林山ぁ・・・恥ずかしいだろ?」
満更でもない顔つきの甲斐くん、いや、甲斐様。
「甲斐様ぁ・・・ん?戸田?何でそこに突っ立ってるの?頭が高いだろ?」
「・・・うん。」
元気ない戸田。
「お前も早く甲斐様に運分けてもらえよ。」
「・・・うん。」
入ってきた時には元気だったのに・・・どうした戸田?
「戸田君?どうした?甲斐が話聞いてあげるぞ。ほれ、ほれ。」
調子に乗る甲斐様。
しかし今日だけは仕方ない。
「・・・俺も実は福引き・・・引いたんだ。」
・・・ほう。
話を続ける戸田。
「そしたら・・・当たったんだ・・・。」
・・・!?
「・・・何が・・・当たったんだ?まさか・・・え?・・・お前も?」
動揺を隠せない。
もしかして・・・こいつも・・・薄型テレビ・・・?
「・・・2等の・・・最新型炊飯器。」
よく戸田を見ると・・・手を背中の後ろに回して何か持ってる。
・・・おそらく最新型炊飯器。
「はは・・・自慢したかった・・・な。」
続ける戸田。
「・・・2人が驚いて・・・戸田すげぇな!!って・・・。」
「戸田・・・今回は運がなかったな。」
こんなしょうもない返事しかできなかった。
2等当てたのに運がないって・・・。
「・・・そうだな。運が無かったんだよな・・・俺。2等当てたのに・・・。」
「俺の話・・・明日にしようか?」
甲斐様の変な気遣いがさらに戸田を追い詰める。
「・・・俺帰るよ。」
そう言うと戸田は寂しそうに帰っていった。