甲斐くんと林山。その他多数 １５

ありがたい提案

出勤すると、ロッカールームで弾と出くわした。

「林山さん。おはようございます。」

「おぉ・・・弾か。おはよう。」

「ところで・・・出し物って何するか決まりました？」

「まぁな・・・一応決まったよ。」

「何するんですか？」

「漫才をしようかなぁって。」

「へぇ・・・なるほど。」

・・・聞いていいのかな？

豚の件。

どうしよう・・・聞いて・・・みる？

「そういえば林山さん。衣装ってどうするんですか？」

「えっ？衣装？そんなの・・・私服だよ。」

聞いたら・・・まずいかな・・・プライベートなことだし・・・

あぁ・・・ちくしょう！！

煮え切らない！！

「私服ですか・・・やめた方がいいと思います。」

でもどうしても聞きたい！！

「・・・なぁ・・・弾、一つ聞いていい？」

「・・・なんですか？」

「この前のことだけど・・・。」

「・・・あれですか。あれは言い過ぎましたよね。すいません。」

「俺に謝らなくてもいいんだけどさぁ・・・その・・・仕事やりづらくならないのかなぁって。」

やんわり聞いてみることにした。

だってさ・・・オーナーを豚呼ばわりしたら周りの目とか気になるでしょ？普通。

「別にそんなことは思ってないです。真実を言ったので、もしかすると傷ついたかもしれないとは考えましたけどね。」

真実か・・・。

覚悟を決めろ・・・聞くぞ俺！！

「弾とオーナーってどういう関係？」

「・・・はい？唐突すぎませんか？その質問。」

「さっきからずっとその話してたよね？」

「えっ！？僕はマイヴィーナスの話かと・・・」

「・・・はい！？」

「林山さんの私服の話してたじゃないですか？・・・それでなんですが・・・林山さんが私服で人前出ると漫才より面白くなって間違いなく笑われますよ。」

・・・こいつサラッと何言ってるの？

「俺の私服の話？今そんな話してないよ。」

「いやいや・・・えっ？どういうことですか？」

「俺は豚って言ったことについて聞いてたんだけど・・・。」

「あれ？そうだったのですか？それには色々ありまして・・・。」

弾はオーナーを豚と呼ぶようになった話を一部始終してくれた。

「そういうことか・・・なるほどね。ところで、俺の私服の話って？」

「いや、僕はてっきりマイヴィーナスのこと怒っているのかと思いまして・・・でもあれは正直な気持ちです。」

「・・・うん。」

言葉にならない。

「あとさっきも言いましたが、私服で人前出たら違う笑いが起こると思うので、スーツなどで揃えたほうがいいと思います。」

「・・・弾って躊躇なくそんなこと言えるタイプなんだね・・・。」

「そうですね。じゃないと豚とか言いませんよ。」

妙に納得。

弾に俺の私服を完全否定されたことにより、俺は舞台衣装を揃えるという方法を決めることができた。

出し物の日まであと・・・４日。