回遊の人生楽笑ブログ

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甲斐くんと林山、たまに戸田。運命交錯編 19

色んな趣味

 

「面白い話あるんだけど聞いてくれるか?」

 

おでんの大根に隠し包丁を入れながら話しかける甲斐くん。

 

「どうした?」

 

とりあえず聞いてみることにした。

 

「この前さぁ、バ田とたまたま街で会ってさぁ、2人で遊んでたんだけどね。」

 

・・・存じております。

 

「あいつ本当にバカだよなぁ。財布なくしてるんだぜ!!」

 

・・・これが面白い話?

 

しょうもない。

 

「・・・そうか。」

 

「仕方ないから入った店全部戻って探したんだけど見つからなくてさぁ・・・。」

 

「・・・花屋とケーキ屋にも入った?」

 

「そうそう・・・花屋と・・・ってあれ?」

 

「俺もその日たまたま外出てて見かけたんだよ。」

 

「そうなの?声かけてくれればよかったのに。」

 

・・・俺は疑問をぶつけた。

 

「中年のおっさん2人がたまたま街で会って、花屋とケーキ屋に入るか?」

 

「えっ?そんなの普通だろ?」

 

・・・

 

・・・

 

まじ!?

 

想像の斜め上の答えが返ってきた。

 

「暇があったら俺1人で花屋とか行くよ。」

 

「まじで!?何しに?」

 

「花を見に行くんだよ。おかしいか?」

 

おかしくないのか?

 

変に否定したら失礼な気がしてきた。

 

「キレイな花を見ると心が朗らかになるぜ。お前も見てみれば?」

 

・・・まじか。

 

知らなかった。

 

甲斐くんにこんな趣味があったなんて・・・人は見た目じゃないのだな。

 

「ちなみにだけどバ田は1人でケーキ屋に行くらしいぜ。」

 

・・・ほう。

 

「1人でケーキ屋行くって言うから・・・『乙女かっ!!』てツッコんでやったさ。」

 

からしたらどちらも乙女が持つような趣味なんですけど。

 

「そうなのか・・・俺は2人でデートでもしてるのかと思ったよ。『あーん』ってケーキを食べさせてるのかなぁって。」

 

仕込みの手を止める甲斐くん。

 

「・・・引くわぁ。」

 

「すまん。どうやら俺の勘違いだったらしい。」

 

「俺とバ田が付き合ってるとか思った?」

 

「・・・そう・・・なりますねぇ。」

 

なぜか敬語になる。

 

「うわぁ・・・林山どうしたんだよ?そんなことあるわけ・・・。」

 

俺は甲斐くんに携帯を見せる。

 

この前の添い寝写真。

 

「・・・これって合成写真?」

 

「違うわっ!!」

 

「だとしたら・・・幻さ。」

 

「・・・この話になったらそれしか言わねぇな。」

 

ハハハと笑い、その場から立ち去る甲斐くん。

 

写真以外の証拠が欲しい・・・迷宮入りになろうとも、あいつに白状してもらうまで・・・俺は戦う決意をした。