甲斐くんと林山、たまに戸田。運命交錯編 1
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「オッス!!元気してるか?」
機嫌のいい俺林山。
「お・・・おぅ。」
引いてる甲斐くん。
・・・ん?
とその前に皆さんお久しぶりです。
覚えてくれてますか?
林山です。
・・・そうそう。
英会話教室に行っていた林山です。
もう辞めちまったけどね。
なんだか・・・途中で行くの面倒になったし、英語覚えても生きていけると思ったしね。
なんでまたここ『多良福』で甲斐くんと長いこと一緒に仕事しようかと思ったのだが・・・なぜか引いてる。
どうしたものか・・・。
「ん?何か引いてない?どうした?」
尋ねてみた俺林山。
「いや・・・その格好・・・。」
アイムローリングサンダー。
「林山ぁ・・・だせぇよ。言葉もだせぇけど何でカタカナ表記なんだよ?お前のTシャツ。」
「そんなこと」気にするなよ!!見てみろよこの色・・・キレイなグラデーションだろ?」
「グラデーションとかそんなの気にならねぇよ!!」
甲斐くんがこっちを見てさらに話し続ける。
「お前・・・逆にすげぇな。」
・・・
・・・フフフ。
バカにしているのか?この俺を・・・フフフ。
「フフフ・・・実はな・・・今日仕事来る途中で見知らぬ人に『Tシャツ格好いいですね。』って言われたんだよ!!」
「・・・そうか。」
「見る人が見たら分かるんだよ!!俺のセンスの良さが。」
「・・・幸せ者だな。」
「まぁな。」
「・・・着こなしてるよ。サンダーT。」
「サンキュー!!」
「・・・あのぉ・・・林山ぁ・・・日本語って難しいな。そもそも言葉で思いを伝えるのって難しいな。」
「・・・?何言ってるの?」
「とりあえずその格好でもう1度外出てみろって。」
言われたとおりにする俺。
数分後。
「ただいま。」
「おかえり。どうだった?」
「知らない子どもが指さして笑ってた。」
「だろ?」
「知らない兄ちゃんが俺の写メ撮って『超だせぇ!!』って笑ってた。」
「だろ?傷ついたな?」
「・・・うん。」
続ける俺。
「ただ、本当にさっきの人はこの服が・・・。」
「林山。恰好いいと言ってくれた人・・・何かを堪えてなかったか?」
「・・・何かって?」
「ニヤニヤしていなかったか?」
「・・・甲斐くん。正直に言ってくれ。このTシャツ・・・ダサいか?」
「林山。そのTシャツはダサいぞ。」
「・・・そうか。1番のお気に入りなんだけどなぁ・・・。」
「林山。もう言うな。俺は笑いを堪えるのに必死だ。」
「格好いいって言われたのは・・・バカにされていたのか?」
「林山・・・クックッ・・・やめてくれ。」
「幸せ者とか着こなしてるとか・・・全部・・・。」
「ククッ・・・気付いただけでも・・・ヒッ・・・成長だよ。」
その日以来俺は1番のお気に入りであったアイムローリングサンダーTシャツを着ることはほとんどなくなった。