甲斐くんと林山、たまに戸田。激闘編 9
この茶々野郎!!
「なぁ甲斐くん。聞いてくれよ。」
今日は俺林山から話します。
「どしたぁ?」
「この前友人と喫茶店に行ったんだよ。」
「お前が喫茶店?似合わねぇ~。」
「うるせぇよ。たまには俺も行くんだよ。」
「話の続きは?」
「そうそう・・・それで注文頼もうと思って・・・」
「お前が注文?似合わねぇ~。」
「いや、誰だってするから。店に入ったら誰だって注文するから。」
続ける俺林山。
「いちいち俺の話に茶々入れるのやめてくれる?」
「ごめんごめん。」
・・・ったっく話にくいわぁ・・・。
「あっ!!間違えた!!ごでんごでん。」
・・・
「可愛いなぁ・・・ちくしょう!!」
「それで話って?」
「えーっと・・・どこまで話した?」
「注文するってとこ。」
「そうそう!!注文・・・」
「似合わねぇ~。」
「・・・うるさい!!やめろっつーの!!話進まねぇから。」
「林山ぁ・・・ごでん。」
「許す!!それで注文しようとしたんだよ。『すいませーん』って店員さん呼んで。」
「普通にすいませんなんだ・・・そこは。」
「そうだよ。何か面白い単語期待してたか?」
「別に。」
「だったら黙って話を聞け!!俺の話を聞いてくれ。」
「ごめん。」
「あぁ!?バカにしてんのか?」
「ごでん。」
「許す!!それで注文しようと・・・。」
「ちょっと待って!!林山見て!!」
「なんだよ?」
甲斐くんの飲んでいたお茶の茶柱がキレイに立っていた。
「・・・いいことあるぜ。林山もそう思うだろ?」
「・・・思うんだけど・・・俺の話つまらない?」
「そんなことねぇよ。これでも楽しみにしてるんだぜ?どんなオチか。」
「本当にそう思ってる?」
「あぁ・・・思ってる。」
「じゃあ・・・俺話す!!」
「その意気だ!!頑張れ林山!!」
「注文しようと『すいませーん』って呼んでも誰も来ないんだよ。」
「それでそれで?」
「何回呼んでも来ないんだよ・・・店員さんレジに立ってるだけでよぉ、お客さんの声完全無視だぜ。」
「・・・これって・・・怖い話?」
「えっ!?何で?」
「林山が他人から見えないっていう怖い話?」
「違う違う!!店員さんの態度が悪かったって話!!それと自分で言うのもなんだが・・・俺の存在感がないって話!!」
「なるほどね。それならよかったぁ。」
「・・・ったく店員にも気付かれないって本当泣けてくる。」
「それでそれで?」
「ん?」
「話の続きだよ~。」
「今ので終わりだけど。」
「オチは?」
「だから存在感がねぇってのがオチだよ!!」
「・・・一気に話したほうがこの話良かったかもね。」
さらに続ける。
「なんか途中でごちゃごちゃしたから・・・。」
「この茶々野郎!!お前のせいだろーが!!」
「俺だけのせいじゃないだろ?『じゃあ・・・俺話す!!』とか言ってただろ?」
「茶々野郎が茶々入れてくるから心配になったんだろうが!!」
「茶々茶々うるせぇよ!!」
「茶々野郎が言うんじゃねぇ!!」
「・・・茶々って言葉言いたいだけだろ?」
「・・・」
「図星?」
「あぁ・・・図星だよ!!何が悪い!!」
「気持ちがよかったか?」
「あぁ・・・とても気持ちがいい。」
「そうか・・・よかったな。」
こんなこと話してるから俺たちはずっとフリーターなんだろうな。
そんなことをふと考えた俺林山だった。