回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

甲斐くんと林山、たまに戸田。誕生編 21

お気に入りの言葉

 

「なぁなぁ、主題歌はどうする?」

 

「主題歌よりまずは女優さんだろ?」

 

思いの外盛り上がる2人、甲斐くんと林山。

 

共に30を過ぎた中年。

 

「おいおい、何をそんなに盛り上がってるんだよ?」

 

いつのまにか戸田がいた。

 

実は大きな宴会の予約が入っており、今日は色々と前準備が多い日だ。

 

すっかり忘れてた。

 

「ちょっと戸田!!聞いてくれよ!!俺たち映画デビューするんだぜ!!」

 

「・・・あ、あぁ。」

 

あれ?

 

ノッてくると思ったのに・・・。

 

「いいだろ?すごいだろ!?」

 

「・・・うん。そうだな。」

 

何か元気ねぇなぁ・・・今日の戸田。

 

・・・待てよ。

 

・・・

 

・・・!?

 

俺は気が付いた。

 

そして言ってやった。

 

「今日は朝働いてきたのか?」

 

「まぁな。バーコードたちと軽く会話してきた。」

 

これが言いたかったんだな。

 

「そんなことより映画デビューだぜ!!いいだろ?」

 

「何の映画に出るんだよ?俺は?俺は出れないの?」

 

いつもの戸田に戻った。

 

「オファーが来てないなら無理だな。」

 

俺たちにも来てないけどね。

 

「はぁ?俺だけ仲間外れかよ?俺がバーコードと会話してる間に何があったんだよ?」

 

「お前も朝からいたらオファー来てたかもな。」

 

「何だよそれ!!俺にもチャンスくれよ!!」

 

「わかったわかった。じゃあここで1つ質問だ。戸田はこの夏何か夏らしいことしたか?」

 

「夏らしいこと・・・ちょっと待ってくれ。思い出すから。」

 

「思い出すから?何を言ってるんだい?分かってないなぁ・・・こういう時は・・・。」

 

・・・やめてくれ!!

 

「探せ!!俺の思考回路!!」

 

・・・ほらね。

 

そうだと思ったよ。

 

「なんだそれ・・・ダセぇ!!」

 

うるせぇよ・・・くそったれ。

 

「さぁさぁ、思考回路に探してもらったか?夏らしいこと何かしたのか?」

 

「俺はこの夏・・・バーコードと会話した。」

 

・・・。

 

「言っとくけど、バーコード・・・もう飽きたから。」

 

ありがとう。

 

俺の気持ち代弁してくれてありがとう。

 

「えっ・・・飽きた・・・。そんなぁ・・・言い過ぎだろ?」

 

大層気に入ってたんだな。

 

相当落ち込んでる。

 

「結局戸田はこの夏仕事しかしてないのか?」

 

「そんなことねぇ!!」

 

「何かしたのか?」

 

「・・・バーコード仲間とBBQした!!」

 

戸田なりにちょっとためらいがあったか。

 

ただぶっこんできやがった・・・バーコード。

 

コンビニのバイト仲間のことね。

 

大層気に入ってるところ悪いのだが・・・。

 

「しつこいから。」

 

つい言っちゃった。

 

「戸田。今日からお前バーコード禁止な。」

 

禁止にもしてやった。

 

「林山まで・・・俺からバーコード取ったら何が残るんだよ!!」

 

「だから禁止だって。しつこい。」

 

「そんなぁ・・・。」

 

膝から崩れ落ちる戸田。

 

そこに追い打ちをかける甲斐くん。

 

「BBQだって?・・・残念だが映画には出れないよ。諦めてくれ。」

 

「・・・なんだよそれ。バーコードも禁止、映画にも出れない・・・。」

 

立ち上がり、俺と甲斐くんをじっと見る。

 

「なぁ、俺だけ仲間外れか?3人友達だと思っていたのによぉ・・・。」

 

・・・気付くとかれこれ1時間ほどこの話をしている。

 

皆さん・・・もうそろそろ仕事始めませんか?

 

私も一緒になって盛り上がっていたので強く言えないですが。

 

このままじゃ・・・準備間に合いません。