回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

甲斐くんと林山、たまに戸田。誕生編 11

セカンドインパクト

 

「うぃーす。」

 

「その声は・・・戸田!!」

 

あれ?今日戸田シフト入ってた?

 

そんなに忙しくもないのに・・・まぁいいか。

 

「戸田おはよう!!今日も朝働いてきたの?」

 

甲斐くんも戸田に気付き、挨拶する。

 

「まぁな。バーコード達と軽く会話してきた。」

 

またこの前と同じこと言ってるよ。

 

気に入ってんのかな?

 

甲斐くん、そそくさと戸田に近寄り、話しかけた。

 

「なぁなぁ、戸田。なんでお前かけもちしてんの?」

 

「はいストッッッップ!!」

 

何度も劇団『バカ』に付き合ってられるか。

 

もうこりごり。

 

「戸田。お前今日シフト入ってた?」

 

「・・・んあぁ。ちょっと近くまで来たからついでに寄ってみた。」

 

まじまじと俺の顔を見る戸田。

 

「こいつが・・・噂のインパクト林山か・・・。」

 

「えっ!?ちょっと待て!!何でお前インパクトの話知ってるの?」

 

「甲斐くんから聞いたんだよ。俺もインパクトって言わせてぇ!!」

 

盛り上がる戸田。

 

「戸田ならできるよぉ。」

 

調子に乗せる甲斐くん。

 

・・・嫌な感じがビンビンする。

 

「・・・言っておくが俺はもう絶対言わないからな。」

 

どれだけ引きずられたか・・・あんな思いはもうしたくない。

 

急に見つめ合う戸田と甲斐くん。

 

「甲斐くん・・・愛してる。」

 

「俺もだよ。」

 

なんだこの茶番・・・くだらない。

 

「・・・気持ち悪ぃよ。」

 

「なんだそれ?インパクトって言えよ!!」

 

「絶対に言わない!!」

 

「言っておくが・・・俺心の底からのインパクトがでるまで帰らないから。」

 

闘志燃え滾る戸田。

 

これは長い夜になりそうだ・・・。

 

・・・どれくらい時間が経過しただろうか。

 

2人(特に戸田)は何かとインパクトを言わせようとあの手この手を使ってくる。

 

俺は軽く流す程度にツッコんでいた。

 

前にも言ったが疲れる・・・もう勘弁してくれ。

 

「くそ・・・ダメだ。こいつ・・・言わねぇぞ。何のために今日俺来たんだよ・・・。」

 

「残念だが俺の勝ちだな。」

 

「ちくしょう!!だったら明日言わせてやる!!これから会う機会も多くなるんだ。俺は諦めないぞ!!」

 

・・・ん?

 

「なぁなぁ、戸田。会う機会多くなるってどういうこと?」

 

甲斐くんが問いかける。

 

「明日から9月だろ?俺9月からコンビニ辞めてここだけで働くことにしたんだ。」

 

・・・

 

・・・・・

 

「・・・イン・・パ・・・クト」

 

言葉に出てしまった。

 

もうこれは言うしかないでしょ。

 

「・・・んなわけないけど。」

 

「・・・は?」

 

「嘘だよ。俺コンビニ辞めないよ。」

 

「・・・はぁ。」

 

俺は開いた口が塞がらない。

 

負けた。

 

こんなとっておきを残していたとは・・・。

 

でも嘘でよかった。

 

ほっとした。

 

ほっとしたよ。