回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

甲斐くんと林山、たまに戸田。誕生編 7

インパク

 

「なぁなぁ、林山。何で大人になると夏休みがなくなるんだよ?」

 

ご存知甲斐くん。

 

ちょっとぽっちゃりハゲ。

 

最近暑いから坊主にしたためか、見た目少し怖い。

 

「公務員にでもなれば夏休みもらえるみたいやぞ。」

 

「そうか。じゃあ俺今から公務員になろうっと。」

 

「どうぞー。」

 

無視しなかっただけでも感謝してほしいね。

 

世間は夏休み。

 

飲食店は繁忙期というのに小料理屋『多良福』予約1件。

 

今することがなく、2人揃って休憩中。

 

大丈夫かなぁ・・・ここ。

 

「そういや甲斐くん。今度連休あったじゃん。どっか泊まりで遊びにでも行ったら?」

 

「あぁね・・・旅行ね。俺さぁ、どうしても家じゃないと眠れないんだよ。だから泊まりってのは・・・。」

 

意外にデリケートな男だったんだね。

 

10年以上の付き合いだけどこの時初めて知った事実。

 

タバコをふかし、甲斐くんが口を開けた。

 

「俺、抱き枕がねぇと眠れないんだ。」

 

・・・

 

・・・・・・

 

インパクト!!」

 

「えっ!?」

 

「衝撃だよ!!お前10年もよくそんなこと隠してたな!!」

 

「別に隠してたわけじゃねぇけど。聞きもしなかっただろ?」

 

「30の太って丸坊主のいかついおっさんが抱き枕ないと眠れない?んなバカな!!」

 

久しぶりに腹抱えて笑った。

 

「小さい頃からの癖だからしょうがないだろ?」

 

笑い続ける俺林山35歳。

 

いかん、ツボに入った。

 

「お前笑いすぎだろ?そんなに面白いか?俺は『インパクト!!』のほうが面白かったけど。」

 

「はぁ?今それどころじゃないから。」

 

「いやいや、考えもしないでとっさにあの言葉が出るか?語呂悪いし、伝わりにくいし、なんせ・・・ちょっとダサい。あそこは普通に『マジで!?』とかでよかったんじゃない?」

 

やっとツボから抜けた俺林山35歳。

 

「別にいいじゃん。そこそんな気にする?」

 

「気にするよ。やっぱ改めて考えると・・・インパクトはダサい。」

 

話を続ける甲斐くん。

 

「例えるなら日常でテレビのことをティービィーって言ってる人みたい。」

 

それは・・・ダサい・・・。

 

そんなにダサかったかな・・・。

 

「なんか上手く言えないが・・・歴史が動いた気がした。今日からお前『インパクト林山』な。」

 

「おいおいちょっと待て。確かにそう聞くとダサい感じしてきた・・・違うじゃん?お前が抱き枕がないと眠れないって話だろ?インパクトはもう忘れろよ。」

 

「いやいや・・・忘れられないね。きっと夢に出てくるよ。インパクトが。」

 

こんなに言われると・・・いやいやそんなにダサいか?

 

そんなでもないだろ?・・・多分。

 

インパクト・・・何でこんな言葉が出てきたのだろう。

 

「なぁ、インパクト。そろそろ仕事戻ろうぜ。」

 

「あ、あぁ・・・。」