甲斐くんと林山、たまに戸田。誕生編 3
んだ。んだ。
「今日はコロッケの仕込みがあるから、ふざけないで終わらせような。」
大量に作り、冷凍保存するから時間がかかる。
「んだ。んだ。」
そうだと言いたいのか?
まぁなんにせよあの甲斐くんが真面目に仕事してる。
気持ちが通じたのか?
熱したじゃがいもを鍋から取り出し、熱いうちに皮を剥く。
「あちっ!!・・・ちっちっ・・・。」
久々に仕事してるって思えた俺林山35歳。
「んば。んば。」
「何か言ったか?」
「んば。んば。んな。んな。」
「なんだって?・・・っておい!!お前もやれよ!!」
声のする方を見てみると、甲斐くん調味料合わせしてる。
「俺ばっか皮剥くのおかしくねぇ?」
「んた。んた。んば。んば。」
「さっきから何言ってんの?・・・あちっ!!」
結局全部皮剥いた俺林山35歳。
ここからは俺に任せろと甲斐くん。
じゃがいもを潰しながら調味料を混ぜ始めた。
「なぁ俺が皮剥いてる時何言ってたの?」
「がんばれ。がんばれ。負けんな。負けんな。」
「は?」
「役割分担。役割分担。がんばれ。がんばれ。」
「そんなこと言ってなかっただろ?」
「言ってたさぁ・・・略して。言葉略すのがマイブームなんだよ。」
「はぁ・・・じゃあ最初の『んだ。んだ。』は何の略?」
「ぱんだ。ぱんだ。」
「・・・ぱ!?」
「・・・いいねぇ。今日もいいツッコミいれてくれるじゃないか。」
「別にツッコんでねぇよ。ただただ呆れてるんだよ。」
なんで彼が『ぱんだ。』と発していたのか、どういう感情で、何を伝えたかったのか分からずのまま、俺たちはコロッケ作り終盤戦を迎える。