甲斐くんと林山、たまに戸田。誕生編 5
かいかい
「なぁなぁ、知っちゅう?」
土佐弁を上手に使いこなす甲斐くん。
出身は宮崎。
「ん?どうした?」
ねぎを小口切りしながら返事を返す。
「俺昨日友達の結婚式に行ったがって。」
へぇ・・・。
「新婦さんの名前が櫂(かい)だってさ。」
小口に集中したいのに話し続ける甲斐くん。
「もし、俺と結婚してたら『甲斐櫂(かいかい)』だよ。」
「・・・なるほどね。」
早く小口終わらせたいんだ。
「病院や、役所で呼び出される時って・・・甲斐さん、甲斐櫂さーんって。」
「くだらんわ!!俺集中したいから黙ってて!!」
ちくしょう・・・ツッコんでしまった。
「ローマ字表記だとkaikaiだよ。どっかのパンダみたい。」
「わかった。わかった。」
話に気持ちが傾いてしまい・・・ねぎが太くなっていく。
「甲斐櫂、回線回収会社開業。海外進出、甲斐櫂外資系株買い、暴落。」
「かいかいうるせぇ!!」
「かいのぉ?」
「・・・からのぉ?みたいに言うな!!」
「さすがわかってるねぇ。俺は嬉しいよ。」
「うるせぇ!!」
この日ずっと甲斐くんはかいかいうるさかった。
俺、林山はこの日ねぎの小口切りが太くなり、こっぴどく社員に怒られた。