回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

『多良福』な人々 1

お久しぶりです

 

みなさん元気してますか?

 

僕のこと覚えてくれてますか?

 

林山です。

 

えっ!?誰って?

 

・・・小料理屋『多良福(たらふく)』で働く林山です。

 

・・・知らない?

 

あの・・・数か月前にアルバイトから正社員になった林山ですよ?

 

んっ?・・・おめでとう?

 

ありがとうございます。

 

あれから色々あってねぇ・・・私厨房の責任者になりました。

 

ちょっとずつ思い出した?

 

・・・まだ思い出せない?

 

うーん・・・相方がいたのは覚えてる?

 

甲斐くんっていうやつだけど・・・。

 

・・・うんうん。

 

なるほどね。

 

ぼんやりしか覚えてないんだね。

 

うん・・・困ったねぇ。

 

ずっと一緒に働いてた甲斐くん・・・新店舗に行ってます。

 

その名も小料理屋『満福(まんぷく)』。

 

・・・ちょっとそこ!!

 

あくびしてる?

 

集中!!集中!!

 

・・・他にいた戸田、弾、漢っていたけど・・・覚えてる?

 

・・・全くですか・・・。

 

ちなみに弾が甲斐くんと『満福』に、残りの2人が『多良福』で働いてるよ。

 

・・・

 

・・・ちょっと・・・待って・・・。

 

興味ないって・・・

 

冷たくないですか?

 

ちょっとくらい僕たちに興味持ってください。

 

30代の中年親父たちのくだらない日常・・・気になりませんか?

 

えーっと・・・時間の無駄?

 

もうそこまで言われたら何も言えません。

 

暇な方だけでいいです。

 

どうぞご覧ください。

甲斐くんと林山。その他多数 40

サプライズパーティー

 

「あのぉ・・・説明してほしいです。」

 

説明を要求する俺林山35歳。

 

「サプライズだよぉ!!林山おめでとう!!」

 

気絶した弾を起こそうとする甲斐くん。

 

・・・

 

・・・

 

「はっ・・・あっ・・・勘弁してください!!」

 

弾が目覚めたと同時に甲斐くんに土下座してる・・・

 

・・・

 

・・・パシャ。

 

1枚撮った。

 

こういうことだけはどんな状況でも体が動く。

 

そんなことを今日改めて自分に知らされる。

 

「林山ぁ、来月から正社員になるんだろ?何で言ってくれないんだよぉ!!」

 

土下座する弾を横目に甲斐くんが話しかけてきた。

 

「えっ・・・あ・・・知ってたの?」

 

「結構前からオーナーに相談されてたんだよ。んでさ、正社員に決まった時に戸田と2人でお祝いしようぜって話になって・・・」

 

戸田を見る。

 

クリームまみれだ。

 

「仕事終わりに話してたからさぁ・・・戸田が寝るんだよ・・・」

 

戸田を見る。

 

クリームまみれだ。

 

「そしたら俺も眠くなってきてさぁ・・・前に見せられた写メのように添い寝みたいになったってわけ。」

 

戸田を見る。

 

クリームまみれだ。

 

「ちなみに俺が休みに日に花屋に行くとか嘘な。」

 

そういやそんな話してたかな。

 

「戸田は1人でケーキバイキング行くみたいだけどな。」

 

戸田を見る。

 

クリームまみれだ。

 

「ケーキの下見と、お前に贈る花を探してたんだよ。」

 

だいぶ前からあった事件の真相はこういうことだったのか・・・なるほど。

 

「ケーキはグチャグチャになってしまったが・・・これ・・・。」

 

そう言うと甲斐くんは花束を俺に差し出した。

 

花の種類はわからないが・・・5種類の花がその束には入っていた。

 

花束の中の花に指をさし、説明を始める甲斐くん。

 

「まずは・・スイートピー花言葉は『門出』。」

 

どうやらひとつひとつ花言葉を教えてくれるようだ。

 

「これはガーベラ。花言葉は『常に前進』、そしてこれがコチョウラン。『幸福が飛んでくる』。」

 

・・・

 

・・・

 

「これがサザンカ。『困難に打ち勝つ』。」

 

・・・

 

・・・ありがたいな。

 

こんな時って本当に言葉出ないんだな。

 

「そして最後のこれは・・・ご存知アサガオ花言葉は・・・おい!!みんな集まれ!!」

 

甲斐くんが土下座した弾、クリームまみれの戸田、ヒゲ眼鏡の漢を集める。

 

アサガオ花言葉は・・・『固い絆』だ!!」

 

・・・

 

・・・

 

35年生きてきたが、こんなに感動した日は初めてだ。

 

俺林山35歳・・・泣きそう。

 

「・・・おい林山!!お前泣いてるのか?」

 

甲斐くん・・・泣いてねぇよ。

 

「林山さん・・・35歳になって泣くって・・・ウケるんですけど。」

 

弾・・・相変わらずだな。

 

さっきまで気絶、そして土下座してたやつがよく言うよ。

 

「林山・・・せっかくだからクリーム舐めるか?」

 

戸田・・・やっぱりズレてるなぁ。

 

そんなことするわけないだろ?

 

はやくその顔・・・洗ってこい。

 

「後藤さん・・・」

 

漢・・・今はそんなノリじゃねぇよ。

 

1番お前がまともな人間だと思ったが・・・ある意味戸田以上のバカだな。

 

みんな・・・

 

出てきそうな涙をこらえ、最年長林山震えながら声を出した。

 

「あ・・・ありがとう・・・嬉しいよ。」

 

俺たち5人はとりあえず散らかった部屋で数十分談笑した。

 

 

 

そして談笑が終わり散らかった部屋を掃除する。

 

長い夜が終わった。

 

今まで生きてきた中で1番思い出に残る夜になった。

甲斐くんと林山。その他多数 39

深夜1時 その2

 

「おい!!俺だ。甲斐だよ。ちょっと電気つけろ!!」

 

店に入り、廊下を小走りしてきた甲斐くんが小声で話しかけてきた。

 

深呼吸をし、少しでも落ち着きを取り戻そうとする僕。

 

そして僕は言われた通り電気をつける。

 

「おい!!準備できたか・・・って・・・何これ?」

 

辺り一面口紅で塗りまくられた壁、地面、そして・・・壁。

 

お店でこんなことしていいのか?

 

絶対にダメだ。

 

今更後悔している僕。

 

でも少し前はそんなことも考えられないくらい心に余裕がなかったんだ。

 

それだけはわかってくれ・・・。

 

「これどうするんだよ・・・後片付け大変だぞ・・・って戸田!!」

 

後ろを振り向く。

 

漢の買ってきたケーキの端を食べている戸田。

 

・・・

 

・・・

 

キャァァァァ!!・・・ヒャァァァ!!

 

何故かわからないが、甲高い声で叫んでいた。

 

戸田・・・

 

戸田・・・お前は・・・

 

何やってんだよ・・・。

 

僕は一通り叫び終わるとケーキを持ち、戸田にめがけて投げつけた。

 

・・・

 

・・・

 

ベチャ。

 

顔面にヒット。

 

テレビでよく見るような光景に出くわした。

 

クリームまみれの戸田・・・出来上がり。

 

「ちょ・・・」

 

何か言おうとした戸田の口をふさぐ甲斐くん。

 

「デカい声出すな!!ばれるだろ?」

 

・・・さっき悲鳴あげましたが・・・?

 

そんなこと気にせず話を続ける甲斐くん。

 

「とりあえず電気を消せ!!」

 

言われた通りに電気を消す僕。

 

辺りがまた真っ暗になる。

 

暗闇の中、僕は気配を感じた。

 

その方向に振り向くと甲斐くんがいる。

 

「とりあえず・・・林山連れてくるから。それと・・・弾・・・わかってると思うが・・・。」

 

・・・何となく察しはつきます。

 

「・・・俺の口紅・・・ねぇ?・・・あとでフルコースな。」

 

です・・・よ・・・ね・・・

 

・・・

 

・・・

 

この時に僕は気絶したみたいだ。

 

記憶が少しの間なくなっている。

 

気が付くと部屋に電気がつけられ、林山が何とも言えない表情で立っていた。

甲斐くんと林山。その他多数 38

深夜0時50分

 

「お疲れ様です!!ケーキ買ってきました!!」

 

漢がケーキを買ってきたようだ。

 

僕に対して敬語を使う漢。

 

初めての経験だ。

 

「よし。ありがとう漢。漢はそのままヒゲ眼鏡つけて準備して。」

 

「分かりました。林山さん・・・今日こそは苗字・・・間違えますからね・・・。」

 

意味の分からないことを言っている漢。

 

とりあえず無視だ。

 

「いやぁ・・・参ったよ。クリーム取れた?」

 

戸田がトイレから戻ってきた。

 

「あぁ・・・取れてるよ。それより戸田は今から色紙に祝福の言葉を書いてくれ。」

 

「祝福ってなんだよ?」

 

「『おめでとう』って書け。」

 

説明するのが面倒くさかったので答えてあげた。

 

「・・・ったく・・・最初からそう言えよ。」

 

・・・

 

・・・イラっとしたが・・・我慢した。

 

もう時間がない。

 

とりあえず壁に装飾品を飾り、それっぽい雰囲気をだす。

 

・・・間に合いそうだ。

 

一息つこうと思い、ケーキの用意された机に手をつき、タバコに火を点けた。

 

・・・ふぅ。

 

おいしい。

 

こんなにもタバコがおいしいなんて。

 

・・・

 

・・・

 

・・・よし!!

 

あと少しだ・・・準備が終わるぞ。

 

もう少し頑張ろう。

 

・・・

 

・・・

 

なんとなく甲斐くんの座る予定の席を見る。

 

・・・口紅?

 

・・・

 

・・・あいつが・・・来る。

 

今日の僕はいつもと違う。

 

キレやすくなっていた。

 

「・・・うぉぉぉい!!こんなものいらないだろうが!!悟になんかさせるかよ!!」

 

そう言いながら口紅を手に取り、壁、床に塗りまくった。

 

「こんなものがあるから・・・こんなものがあるから・・・。」

 

口紅がなくなるまで塗りまくる。

 

・・・自分でもおかしいのはわかっているのだが・・・止まらない。

 

「おい弾・・・大丈夫か?」

 

戸田が心配している。

 

「お前らが俺をこうしたんだよ・・・戸田・・・早く電気・・・消せよ。」

 

「怖っ・・・わかったよ・・・電気消すぜ?」

 

電気が消えた。

 

自分でも意味がわからない・・・テンションがおかしい。

 

どうしてしまったんだ・・・

 

そんなことを考えていると・・・2人が店にやってきた。

甲斐くんと林山。その他多数 37

深夜0時25分

 

落ち着け・・・落ち着くんだ・・・弾。

 

久しぶりに深呼吸をする。

 

・・・なかなかいいものだ。

 

平常心を取り戻せてきた。

 

ふぅ・・・今の状況を整理しておこう。

 

僕に『どうせ豚だろ?』と言われ、膝から崩れ落ちている漢。

 

漢にはヒゲ眼鏡をつけてもらい、時間ギリギリでヘリウムガスを吸ってもらえばそれでいい。

 

それまでは崩れ落ちてもらっておこう。

 

あとは戸田だ。

 

こいつにはテーブルの準備をしてもらい、2人(甲斐くん、ヴィーナス)が店に到着し、この部屋に着いたらタイミングよく電気を消してもらう。

 

たったこれだけの準備なのに・・・なぜこんなに疲れるのだ?

 

難しいことは何もないぞ?

 

甲斐くん、ヴィーナスが店に戻ってくるまであと・・・約30分。

 

・・・全然間に合う。

 

よし・・・早速戸田にテーブルの準備を・・・

 

って・・・おい!!

 

お前ら何してるんだ?

 

こいつら・・・お祝い用のケーキ食べてやがる。

 

「やっぱケーキっておいしいなぁ。」

 

「そうですね。元気出てきます。」

 

・・・さらに話す漢。

 

「端っこのほうなら食べてもバレないっていう戸田さんの考え・・・確かにそうですよね。」

 

確かにそうじゃねぇんだよ!!

 

「だろ?俺って賢いよなぁ?」

 

2人で楽しそうに談笑しながら食べてたからさぁ・・・僕言ってやったんだ。

 

「何食べてるの?」

 

って。

 

そしたら何て答えたと思う?

 

「ケーキだよ。見ればわかるだろ?」

 

ってさ。

 

・・・聞き方が間違ってたのかな?

 

「どうしてお祝い用のケーキを先に2人で食べてるの?」

 

って聞いてみたんだ。

 

そしたら。

 

「だからぁ・・・端っこだからバレないって。」

 

そういう問題じゃない・・・ですよね?

 

僕の気持ちを察したのかな・・・漢がしどろもどろしながらこう言ったんだ。

 

「いや・・・あの・・・そのぉ・・・ケーキなんか食べてない!!」

 

嘘をつくな!!

 

子どもでもそんな嘘つくか!!

 

「よし!!ケーキ食べたことだし、そろそろ準備しようぜ!!早くしないと間に合わないぞ。」

 

戸田がここにきてやる気に満ち溢れている。

 

・・・せっかく深呼吸して

 

・・・平常心を取り戻そうと

 

・・・した・・・のに・・・な・・・

 

・・・

 

・・・

 

うぉぉぉ!!

 

「こんな食べかけのケーキでお祝いできるかぁぁぁ!!」

 

食べかけのケーキを取り上げ、戸田の顔面に・・・

 

ベチャ。

 

・・・

 

・・・

 

クリームまみれの戸田。

 

驚いて腰を抜かす漢。

 

「・・・うぉい弾!!お前何してんだよ!!顔ベチャベチャだよ!!」

 

「・・・っさいわぁ!!お前がケーキ食うからだろうが!!」

 

「だからってここまでしなくてもいいだろ!?」

 

「当然の報いだよ!!おい!!そこで腰抜かしてないでお前も早く替えのケーキをコンビニかどっかで買ってこいやぁ!!」

 

「はい!!すぐ行きます!!」

 

慌ててケーキを買いに行く漢。

 

全身についたクリームを舐める戸田。

 

「もう・・・やってらんねぇ。」

 

そう言いながら、戸田はトイレに向かった。

 

・・・いつになったら準備できるんだよ・・・。

 

2人が帰ってくるまで・・・あと・・・15分くらいか。

甲斐くんと林山。その他多数 36

深夜0時15分

 

「いや・・・そうじゃなくて・・・準備しないと甲斐くんに怒られるだろ?」

 

冷静に対応しようと頑張る僕。

 

別にどうでもいいことなのだが・・・僕がさっき初めて言葉に出して『戸田』と呼び捨てにしたのに・・・全く気にしていない。

 

もしくは気付いていないのか・・・どちらにしろ腹が立つ。

 

普通なら『お前呼び捨てかよ!!』とか言うだろ。

 

それが何?

 

ケーキ食べれないから怒ってるのかって?

 

バカじゃないの?

 

それと、僕の彼氏である漢と2人でケーキを食べようとしている戸田。

 

そこに嫉妬して止めに入った僕。

 

それが何?

 

ケーキ食べれないから怒ってるのかって?

 

バカじゃないの?

 

長々と僕が戸田に対してどう思ってるか・・・考えてみた。

 

やっぱバカじゃないの?

 

これしか考えられない。

 

「弾、呼び捨てはだめだろ?戸田さんは先輩だ。」

 

・・・うるせぇよ。

 

漢はちょっと黙ってて。

 

そう思っていたのに・・・また漢が話しかけてきた。

 

「なぁ弾。3人で一緒にケーキ食べよう。準備するのはそれからでも遅くはないだろ?」

 

お前もか!!

 

・・・なるほどね。

 

うっすら気付いてはいた・・・気付いてはいたが、あまり言いたくなかった。

 

漢だったから。

 

そう思っていたのだが・・・言ってやる。

 

こいつら2人の共通点・・・空気が読めない。

 

だから惹かれ合うのか?

 

僕がいながら戸田に惹かれるのはそのためか?

 

それと、言っておくが・・・1人用のケーキを3人で食べるってどういう状況だ!?

 

意味が分からない。

 

3人で食べるならいっそヴィーナスに用意したケーキを食べろ!!

 

・・・

 

・・・

 

・・・考えれば考えるほど腹立ってきた。

 

「いいから早く準備しろよ!!ケーキなんかどうでもいいんだよ!!」

 

「弾・・・お前まさか・・・。」

 

・・・何だよ戸田。

 

言ってみろよ。

 

 

「ケーキ嫌い?」

 

 

・・・何か・・・すべてが・・・どうでもよくなった。

 

本当に・・・イライラする・・・。

 

「違うわ!!こんなものどうでもいいんだよ!!」

 

戸田の手からケーキを取り上げ、地面に叩きつけた。

 

「あぁぁぁぁ!!俺のケーキ・・・何するんだよ!!」

 

「うっさいわぁ!!早く準備するんだよ!!」

 

グチャグチャになったケーキを見て

 

「弾!!お前やりすぎだぞ!!」

 

漢が怒鳴ってきた。

 

「お前もうるせぇんだよ!!早く買ってきたしょーもないパーティーグッズ準備しろや!!」

 

漢に対しても強い口調になってしまった。

 

「お前・・・少し落ち着け!!冷静になれ。こんな言葉があるの・・・知って・・・」

 

「どうせ豚だろ?」

 

「・・・弾・・・そんな・・・嘘だろ?」

 

言ってはいけない言葉を言ってしまった。

 

膝から崩れ落ちる漢。

 

そして、自分用のケーキがグチャグチャになり、お祝い用のケーキを食べようとしている戸田。

 

・・・

 

・・・もう疲れた。

 

家に帰りたい。

 

準備・・・まだ何も終わってません。

甲斐くんと林山。その他多数 35

深夜0時過ぎ

 

とりあえず準備しないと・・・。

 

また悟とか出てきたら嫌だし。

 

「それじゃあ・・・戸田くん、漢。準備始めようか。」

 

「その前にちょっと・・・。」

 

戸田がそう言うと冷蔵庫から1人分のショートケーキを取り出した。

 

「これ食べてから準備してもいい?」

 

どうやら自分用のケーキを買っていたみたいだ。

 

もちろん

 

「ダメだよ。」

 

そう言ったさ。

 

早く準備しないとね。

 

そしたらさぁ・・・

 

「そんなこと言わないでいいじゃないか・・・弾。」

 

元気のない漢が戸田をフォローしてきた!!

 

「えっ!?・・・いや・・・だって・・・準備しないと・・・。」

 

「ちょっとくらいいいじゃないか。戸田さん、それ食べてから準備始めましょう。」

 

・・・忘れてた。

 

戸田は・・・僕のライバルだったんだ。

 

戸田に優しい漢・・・見たくないよ。

 

僕は決めた。

 

今日徹底的に漢と戸田の仲を・・・切り裂く。

 

「漢は優しいなぁ。誰かさんと違って。」

 

誰かさんとは僕のことかい?

 

「いやいや戸田さん・・・そんなことないですよ。」

 

・・・漢がちょっと元気出てきた。

 

・・・元気ないままの漢でいてほしかった。

 

また漢の元気がなくなると思うから・・・。

 

「いやいや漢は優しいよ!!一緒にケーキ食べよう!!」

 

「ちょっと待てって!!」

 

僕としたことが声を張ってしまった。

 

「戸田!!いいから準備するんだ!!」

 

そう言ったら戸田のやつ何て言ったと思う?

 

「弾・・・お前もケーキ食べたかったのか?だから怒ってるのか?」

 

だってさ。

 

・・・

 

・・・そういえばヴィーナスと甲斐くんが言ってたな・・・。

 

戸田は空気が読めないと・・・感覚がズレてると・・・。

 

僕もわかったよ。

 

こいつは本当に面倒くさいやつなんだって。