回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

甲斐くんと林山。その他多数 34

深夜23時50分頃

 

「みんなわかってるな?今から俺が林山を飯に誘うから・・・その間に準備しとけよ。」

 

甲斐くんにそう言われ、仕事終わってから準備を始める戸田、漢、そして僕・・・弾だよ。

 

「弾、お前が仕切って準備しろよ。じゃあ俺行ってくる。」

 

店を出て行った甲斐くん。

 

残ったのは・・・

 

マイヴィーナスに『ゲイ人』で手痛い指導を受け、あれから元気のない漢。

 

「・・・まだケーキ食べれないの?早く食べようぜ。」

 

ケーキで頭いっぱいの戸田。

 

どうなるのだろうか・・・。

甲斐くんと林山。その他多数 33

深夜1時過ぎ

 

特に変わったものは見当たらない。

 

携帯の明かりだけで前に進んでいく。

 

俺は・・・恐る恐る歩いていく。

 

「林山・・・下・・・見てみろよ。」

 

甲斐くんが後ろから話しかけてきた。

 

俺はそっと下を見る・・・。

 

・・・

 

・・・まさかな。

 

嘘だろ?

 

これって・・・血・・・?

 

「これって・・・血・・・なのか?」

 

「林山・・・どうする?まだ進むか?」

 

「・・・もうちょっとだけ進んでみよう。」

 

怖かったけど先に進んでみた。

 

何があるのか見てみたい。

 

 

『・・・おとうさん・・・。』

 

・・・はっ!!

 

まじか!?

 

これって・・・子どもの声?

 

もしくは・・・機械音のようなちょっと高い声?

 

『・・・おとうさん・・・これで・・・許して・・・くれますか・・・おとうさん・・・。』

 

・・・お父さん?

 

俺は慌てて携帯を振り回す。

 

どこだ?

 

どこから声が聞こえる?

 

『・・・おとうさん・・・おとうさん・・・。』

 

だんだん近づいてきている・・・気がする。

 

声がはっきり聞こえてきた・・・ような。

 

・・・どこだよ!?

 

くそっ・・・どこだ!!

 

・・・

 

・・・!?

 

「うわぁぁぁぁぁ!!」

 

俺の肩に感触が・・・。

 

後ろから俺の肩に何かが・・・。

 

覚悟を決め、俺はその何かを手で掴む。

 

・・・掴めた。

 

あとは振り向くだけ・・・

 

「・・・誰だっ!!」

 

何かを掴んだまま振り向く。

 

そこには・・・

 

・・・

 

・・・

 

そこには・・・ヒゲ眼鏡をつけた漢がいた。

 

「・・・うおぉぉぉぉ!!」

 

久しぶりに大きな声をあげた。

 

深夜の『多良福』に俺の声が響きわたる。

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

2回目の大声をあげる。

 

「・・・うお・・・」

 

3回目の大声を出そうとすると

 

「林山落ち着けって!!」

 

甲斐くんが俺の口に手をあて、止める。

 

「林山・・・一旦落ち着こう・・・な?」

 

甲斐くんが手をあて、止めようとしてくれている。

 

ちょっとずつ落ち着いていく俺。

 

落ち着いてくると・・・目の前にいるヒゲ眼鏡の漢に腹が立ってきた。

 

そして落ち着いて聞いてみると、漢はヘリウムガスを吸っていることがわかった。

 

そして、『おとうさん』ではなく、『後藤さん』と言ってたようだ。

 

結局のところ・・・どういうこと?

 

誰か説明してくれ!!

 

この・・・腹立つヒゲ眼鏡は何なのだ!?

 

「・・・なんだかんだで大成功だな。もういいぞー。」

 

そう言うと甲斐くんは俺の口から手を離す。

 

明かりがついた。

 

そこには・・・

 

気絶した弾、白いクリーム的なものまみれの戸田、そしてヒゲ眼鏡。

 

それと・・・

 

『おめでとう』っていう色紙に書かれた文字。

 

・・・何がどうなってるの?

甲斐くんと林山。その他多数 32

深夜1時

 

「林山ぁ・・・悪いんだけどさぁ、ちょっと店に寄って行かねぇか?忘れ物した。」

 

・・・面倒くさい。

 

なんで行かなきゃいけないんだよ・・・1人で行けよ・・・。

 

・・・ったく・・・うーん!!

 

葛藤を繰り返した結果

 

「別にいいよ。」

 

そう言い、2人で『多良福』に向かうことになった。

 

・・・なんか気まずい。

 

何年も職場以外で会わなかったからさ、話すこともないし・・・気まずい。

 

早く店に着いてくれ。

 

そう考えていると、店に到着。

 

「俺ちょっとトイレ行ってくる。」

 

店に着くと我慢していたトイレに向かうことにした。

 

・・・

 

・・・ふぅ。

 

トイレに座り、どれくらい時間がたっただろうか。

 

 

『キャァァァァァ!!・・・ヒャァァァァァァ!!』

 

突然女性のような甲高い声が聞こえてきた。

 

店には甲斐くんしかいない・・・はず。

 

俺は慌ててトイレを出た。

 

誰もいない。

 

・・・甲斐くんもいない。

 

 

どういうこと?

 

 

『・・・ベチャ。』

 

今度は気持ち悪い音。

 

ネチョネチョした感じの音。

 

 

どういうこと?

 

 

「林山・・・トイレから出てたのか?」

 

 

・・・はっ!!

 

振り向くと甲斐くんがいた。

 

「いつからいた?」

 

「はぁ?最初からいたよ。」

 

「何かさぁ・・・女性かな?甲高い声聞こえなかった?」

 

「知らねぇな。」

 

「じゃあ・・・ネチョネチョした音は?」

 

「ネチョネチョした音ってどんな音だよ!!」

 

・・・どういうこと?

 

「林山ぁ・・・どうしたんだよ?」

 

「確かに聞こえたんだよ!!甲高い声とネチョネチョした音!!」

 

「・・・お前疲れてるんだよ。大丈夫か?」

 

・・・どういうこと?

 

えっと・・・ちょ・・・怖い。

 

動揺する俺林山35歳。

 

甲斐くんには聞こえてないの?

 

もしかして・・・。

 

「林山ぁ・・・何?幽霊とか言いたいの?気になるなら中見ていくか?」

 

「・・・・・・うん。」

 

俺と甲斐くんは奥に向かって歩いていった。

甲斐くんと林山。その他多数 31

深夜0時30分

 

「林山!!こっちこっち!!」

 

近くのファミレスに行くと甲斐くんが座って待っていた。

 

「甲斐くん1人?」

 

「そうだけど。」

 

「・・・気まずくね?」

 

仕事でほぼ毎日会っている甲斐くん。

 

休みの日に会うのって・・・なんか変な感じ。

 

別に会いたくないとか・・・嫌いとか・・・そういうわけではないのだが・・・何か変な感じ。

 

「たまにはいいだろ?」

 

「・・・別に会って話すこと・・・なくね?・・・しかも休みの日に。」

 

「確かになぁ・・・まぁ座れよ。」

 

わざわざ来たんだし、とりあえず座り、注文を考える俺。

 

「林山よぉ・・・2人で飯食べるのって何年ぶりだよ?」

 

「・・・わかんねぇ。5年以上は来てないと思うけど。」

 

「だよなぁ・・・俺ちょっと誘うのドキドキしたから。」

 

「気持ち悪ぃ。」

 

ボタンで店員さんを呼び、俺はドリンクバーを頼んだ。

 

甲斐くんもなにかしら注文していた。

 

「甲斐くんそういやさぁ・・・『ゲイ人』店閉めるって聞いた?」

 

「そういや言ってたなぁ・・・あの2人もここだけで働くんだろ?」

 

「みたいだなぁ・・・何で辞めるか理由知ってる?」

 

「経営できなくなったんじゃないの?」

 

「・・・違う。人足りないからこっちで働いてくれないか?ってオーナーから頼まれたみたいだな。」

 

「そんなことで店閉めるのか?」

 

「まぁ・・・オーナーと弾にも色々あるんじゃないかな。」

 

この前のことを思い出した。

 

おそらくあの時に弾が

 

『何でも聞くから~。』

 

って言ったから・・・それも原因の1つだろうな。

 

まぁ・・・原因はそれだけではないんだけどね。

 

そんな話をしていると、甲斐くんが注文したごぼうのから揚げが運ばれてきた。

 

「・・・相変わらず好きだなぁ・・・それ。」

 

「俺はこれさえあればいいのさ。」

 

昔からファミレスに行くと甲斐くんは必ずごぼうのから揚げを頼むのだ。

 

「ところで林山ぁ・・・最近どうよ?」

 

ごぼうのから揚げにタルタルソースをつけながら話しかける甲斐くん。

 

「どうって・・・普通。」

 

「そうか・・・。」

 

言えないなぁ・・・正社員になるって話。

 

・・・もしかして知ってる?

 

だから今日俺をファミレスに呼んだのか?

 

「甲斐くんはどうよ?」

 

話題を変えようと思い、俺は甲斐くんに話をふった。

 

「別に・・・。」

 

「お前は女王様か!!」

 

「・・・同じことを俺も昔弾に言った気がする。」

 

「・・・ハハハ。」

 

・・・

 

・・・

 

どれくらい時間が経過しただろうか。

 

甲斐くんが携帯をチラチラ見ている。

 

時間を気にしているのか?

 

そう考えていると、甲斐くんが口を開く。

 

ごぼうのから揚げも食べたし、そろそろ出ますか?」

 

俺たちはファミレスを後にした。

甲斐くんと林山。その他多数 30

深夜0時

 

この日俺は休みだった。

 

テレビを見ながら家でゴロゴロしていた。

 

地デジって楽しいな・・・そう思いながら家でゴロゴロしていた。

 

「・・・ん?電話?誰だよ・・・こんな時間に・・・。」

 

珍しく俺の携帯が鳴る。

 

電話の相手は甲斐くんだ。

 

「林山ぁ。起きてるか?」

 

「あぁ・・・テレビ見てたとこだよ。どした?」

 

「突然だけどさぁ・・・今からメシ行かないか?」

 

深夜0時まわってますよ?

 

「はぁ?今から?もう俺寝るぜ?」

 

「そんなこと言うなよ。たまにはいいだろ?」

 

「・・・ダルイよ。」

 

「近くのファミレスで待ってるからよろしく~。」

 

そう言うと電話を切られた。

 

・・・面倒くせぇ。

 

・・・超面倒くせぇ。

 

まぁな・・・誘われたし・・・行く?

 

でもなぁ・・・・。

 

葛藤しながらもとりあえずファミレスに行くことにした。

 

なんだかんだで俺っていいやつなんだよなぁ。

甲斐くんと林山。その他多数 29

深夜2時前

 

・・・うわぁ。

 

なんなんだ・・・これは・・・。

 

35年生きてきたが、こんなサプライズは初めてだ。

 

「まぁ・・・とりあえずおめでとう!!」

 

甲斐よ・・・とりあえずって何だよ!!

 

とりあえずって何だよ!!

 

大事なことなので2回頭の中で考えた。

 

「おぉ・・・ありがとう。」

 

久々に引いている俺林山35歳。

 

これ・・・ひどくないか?

 

買われたケーキは地面に落ち、クリームまみれの戸田。

 

壁に飾られた(?)装飾・・・装飾というよりその辺にあったものを壁に貼り付けてあるように見える。

 

そして・・・気絶した弾。

 

何があったんだよ・・・。

 

「・・・後藤さん・・・後藤さん・・・。」

 

髭眼鏡した漢・・・おそらく俺を呼んでいる。

 

・・・何があったんだよ。

 

こんな光景を目の当たりにする2時間前。

 

2時間前から順を追って話していこうと思う。

甲斐くんと林山。その他多数 28

俺が今欲しいのはそっちじゃねー!!

 

弾に悟フルコースをしたかったな・・・。

 

1週間経った今でも後悔している俺林山。

 

仕事終わって考え事しようと思い、近くのBARに寄った。

 

そう・・・弾と漢の経営するお店『ゲイ人』に俺は寄った。

 

「いらっしゃいませ・・・あら?」

 

漢が出迎えてくれた。

 

「よう。ここで会うのは久しぶりだな?」

 

「・・・。」

 

「何だよ?」

 

「いや・・・いい苗字が浮かばなかったもので・・・。」

 

「無理しないでいいからね。」

 

「・・・僕の数少ないボケるシーンなんですけど・・・。」

 

「・・・何言ってるの?」

 

「これがなくなったら・・・僕にはあと豚しかない!!」

 

「だから何言ってるの?」

 

意味はわからないが、相当悔しそうな漢。

 

「僕は苗字間違いと・・・豚でしか笑いが取れないのだ!!」

 

なんか・・・様子が変だぞ?

 

「おいおい・・・漢大丈夫?言ってる意味はわからないが、ちょっと様子変だぞ?」

 

俺が話しかけると

 

「・・・すいません・・・取り乱してしまいました・・・ところで今日はどうなさいました?」

 

いつもの冷静な漢に戻った。

 

「ちょっとな・・・考え事したくなって。」

 

「・・・よければ話してくれませんか?」

 

「あぁ・・・。」

 

漢に考え事を話す。

 

気付くと1時間くらい話していた。

 

「あれ?林山さん来てたのですか?」

 

弾が外から帰ってきた。

 

「おぉ・・・弾か。」

 

「林山さん。豚から聞きましたよ。」

 

「・・・何?」

 

「あなたが来月から正社員になるって話・・・もちろんなるんですよね?」

 

「あぁ・・・ちょうどその話を漢にしてたんだ。何か・・・実感ないんだよなぁ。」

 

「長いことフリーターでしたもんね。でもいい話じゃないですか?漢もそう思うだろ?」

 

「いい話です。林山さん・・・。」

 

漢が普通に俺の名前呼んだよ。

 

そしていつものように

 

「こんな言葉・・・知ってますか?」

 

って。

 

だから俺は

 

「どうせ豚だろ?」

 

って。

 

そしたら漢・・・黙って下向いてしまったよ。

 

相方の弾・・・そんな漢を無視し、俺に話しかけてきた。

 

「そういえば・・・あの2人はこのこと知ってるのですか?」

 

「いや・・・まだ言ってない。」

 

「言わないのですか?」

 

「戸田はともかく・・・甲斐くんにはちょっと言いづらいかな・・・。」

 

「・・・ずっと一緒に働いてますからねぇ・・・フリーターとして。」

 

「そうだな。あいつも俺と同じくらい長いこと働いてるから・・・俺だけなるって甲斐くんに言うのは気が引けるというか・・・。」

 

「それはおかしいですよ林山さん。」

 

・・・

 

・・・

 

おいおい・・・漢。

 

話入ってくるのはいいけど・・・俺の名前間違えないの?

 

待ってる俺も俺だけどさ・・・

 

もうそろそろ出てもいいのでは?

 

「有名な方の言葉にこんな言葉があります。」

 

「・・・だから豚だろ?」

 

・・・そっちじゃねぇんだよ!!

 

俺が求めてるのはそっちじゃねぇ!!

 

「・・・。」

 

また下を向いて黙った漢。

 

「気が引ける気持ちは分からなくもないですが・・・やっぱり言ったほうがいいと思いますよ。」

 

さっきもそうだったが、弾も何もなかったように話進めるんだよな。

 

お前のパートナー・・・下向いて落ち込んでるぞ。

 

「そうだな・・・言おうかな。」

 

「・・・ちょっといいですか?」

 

下向いていた漢が話しかけてきた。

 

「・・・どうした?」

 

「そのぉ・・・林山さん・・・。」

 

・・・

 

・・・もう言っちゃおう。

 

「漢さぁ・・・何でもいいからさぁ・・・そろそろ俺の名前間違えろっつーの。」

 

「・・・。」

 

落ち込む漢を見ながら俺は席を立つ。

 

「そろそろ帰るわ。ありがとな。」

 

「・・・森林・・・さん。」

 

「漢・・・この前と同じじゃねーか。何でもいいと言ったけどさぁ・・・昔使ったやつはずるくないか?しかも俺に言われてから苗字間違えても遅いよ。タイミング・・・考えような。」

 

「・・・。」

 

「あのぉ・・・林山さん。」

 

いつも通り漢を無視し、弾が話しかけてくる。

 

「どうした?」

 

「実は・・・。」

 

俺は耳を疑った。

 

そしてもう1回聞き直した。

 

「弾・・・もう1回言ってくれないか?」

 

「えぇ・・・今月でBAR『ゲイ人』・・・閉店します。」

 

あらら・・・。

 

俺は弾に理由を聞いた。

 

それを聞いて俺は納得した。

 

その理由ってのは・・・今は言えない。

 

・・・でもさぁ・・・漢はそれで納得するのか?

 

振り返って漢を見る。

 

「・・・。」

 

1人でぶつぶつ唱えながら反省会してる。

 

まぁ・・・色々あるんだな。