甲斐くんと林山。その他多数 36
深夜0時15分
「いや・・・そうじゃなくて・・・準備しないと甲斐くんに怒られるだろ?」
冷静に対応しようと頑張る僕。
別にどうでもいいことなのだが・・・僕がさっき初めて言葉に出して『戸田』と呼び捨てにしたのに・・・全く気にしていない。
もしくは気付いていないのか・・・どちらにしろ腹が立つ。
普通なら『お前呼び捨てかよ!!』とか言うだろ。
それが何?
ケーキ食べれないから怒ってるのかって?
バカじゃないの?
それと、僕の彼氏である漢と2人でケーキを食べようとしている戸田。
そこに嫉妬して止めに入った僕。
それが何?
ケーキ食べれないから怒ってるのかって?
バカじゃないの?
長々と僕が戸田に対してどう思ってるか・・・考えてみた。
やっぱバカじゃないの?
これしか考えられない。
「弾、呼び捨てはだめだろ?戸田さんは先輩だ。」
・・・うるせぇよ。
漢はちょっと黙ってて。
そう思っていたのに・・・また漢が話しかけてきた。
「なぁ弾。3人で一緒にケーキ食べよう。準備するのはそれからでも遅くはないだろ?」
お前もか!!
・・・なるほどね。
うっすら気付いてはいた・・・気付いてはいたが、あまり言いたくなかった。
漢だったから。
そう思っていたのだが・・・言ってやる。
こいつら2人の共通点・・・空気が読めない。
だから惹かれ合うのか?
僕がいながら戸田に惹かれるのはそのためか?
それと、言っておくが・・・1人用のケーキを3人で食べるってどういう状況だ!?
意味が分からない。
3人で食べるならいっそヴィーナスに用意したケーキを食べろ!!
・・・
・・・
・・・考えれば考えるほど腹立ってきた。
「いいから早く準備しろよ!!ケーキなんかどうでもいいんだよ!!」
「弾・・・お前まさか・・・。」
・・・何だよ戸田。
言ってみろよ。
「ケーキ嫌い?」
・・・何か・・・すべてが・・・どうでもよくなった。
本当に・・・イライラする・・・。
「違うわ!!こんなものどうでもいいんだよ!!」
戸田の手からケーキを取り上げ、地面に叩きつけた。
「あぁぁぁぁ!!俺のケーキ・・・何するんだよ!!」
「うっさいわぁ!!早く準備するんだよ!!」
グチャグチャになったケーキを見て
「弾!!お前やりすぎだぞ!!」
漢が怒鳴ってきた。
「お前もうるせぇんだよ!!早く買ってきたしょーもないパーティーグッズ準備しろや!!」
漢に対しても強い口調になってしまった。
「お前・・・少し落ち着け!!冷静になれ。こんな言葉があるの・・・知って・・・」
「どうせ豚だろ?」
「・・・弾・・・そんな・・・嘘だろ?」
言ってはいけない言葉を言ってしまった。
膝から崩れ落ちる漢。
そして、自分用のケーキがグチャグチャになり、お祝い用のケーキを食べようとしている戸田。
・・・
・・・もう疲れた。
家に帰りたい。
準備・・・まだ何も終わってません。