甲斐くんと林山。その他多数 25
ザラザラ感
「やぁ、弾。元気かぁ?」
出勤そうそう甲斐くんと出会った。
僕は弾です。
「あいかわらずだよ。甲斐くんはどうだい?」
「・・・元気にきまってるじゃないのよぉ!!」
・・・えっ!?
甲斐・・・くん?
「もしかして・・・悟さんですか?」
「何言ってるんだよ!!甲斐だよ!!どうしたんだ?」
「いや・・・別に・・・そうだよね。甲斐くんだよね。」
よかった。
「・・・なになに?あたしに会いたかった?」
・・・!!
「くるな!!」
「・・・なんだよ・・・弾。どうした?甲斐だぞ。」
目をこすってもう1度確かめる。
・・・甲斐くんだ。
僕はどうしたんだ?
・・・疲れてるのかな?
「甲斐くん・・・先に行くね。なんかさぁ・・・悪い予感がするから。」
「・・・しょ~げき~!!悪い予感ってあたしのこと?」
「出たぁ!!林山・・・林山ぁ!!」
「弾・・・知ってる?あたしは化粧しなくてもオカマになれるの。テンションだけで悟に変われるのよ。」
「来るなぁ!!林山ぁ!!」
「そんなに怖がらないでいいだろ?甲斐でも悟でも同じ俺なんだからさぁ。」
「・・・分かってる・・・分かっているが・・・。」
「初対面からやりすぎたよ。それは謝るから。」
そう言うと甲斐くんは握手を求めてきた。
僕もその握手にこたえるため、手を・・・出したくない。
「なんだよ~。仲直りしようぜ。まぁ・・・お前が握手を拒むのならば・・・。」
・・・くそっ!!
悟に挟み撃ちされた。
・・・握手したらいいって?
そんなの罠に決まっている!!
・・・どうしよう・・・握手・・・する・・・しかないのか・・・。
僕はおそるおそる甲斐くんに手を差し伸べた。
「・・・弾の手ってスベスベ~♪」
ほらね!!ほらね!!
手に脂ぎった中年オヤジの顔が・・・。
気持ち悪い・・・僕は必死になって手を離そうと頑張った。
ただ、力が強い。
「すごく気持ちいいぃ!!あたしこの手・・・離さない!!」
「触るな!!離せ!!このモンスターが!!」
「モンスターじゃないわ!!あたしはオカマ!!あなたと同じ人間よ。」
話している間もずっと手を離さない。
そして顔を僕の手にスリスリしてくる。
・・・剃り残ったヒゲの感触。
甲斐くん・・・いや・・・悟さん。
トラウマができたよ。
「ヒィィ・・・やめろ!!ザラザラするんだよ!!」
「そんなこと言うの?だったらもっと・・・す~り~す~り~♪」
「うわぁぁぁぁ!!」
もう・・・ダメだ。
このまま・・・僕は気絶するの・・・か。
・・・
・・・
「そのへんにしといてやれよ。」
・・・
ザラザラ感がなくなった。
「このままだと弾が気絶してしまうぞ。」
・・・林山?
「ちょっとからかってやろうと思ったら・・・調子乗りすぎてしまっただけよ。」
「まぁ・・・楽しかったけどさ。さすがに気絶したら後々面倒だから。」
「・・・林山・・・いつから・・・見ていたのだ?」
「最初からだよ。お前『林山ぁ!!』って何回叫ぶんだよ。」
僕を見て笑う林山。
こいつだけは・・・
・・・
・・・そうか!!
僕は気が付いてしまった。
そう・・・悟を封印する方法を。
これで僕は・・・無敵だ。