甲斐くんと林山。その他多数 20
罰がつくと人は変わるって話
今日は仕事に身が入らなかった。
なぜなら・・・明日は出し物の日だからだ。
・・・緊張してきた。
とりあえず仕事終わってから3人でネタ合わせをしてみた。
これ・・・うまくいくかなぁ・・・。
戸田・・・全くセリフ覚えてない。
「戸田ぁ・・・ちょっと頼むって・・・セリフ覚えておいてって言ったよね?明日にはお客さんの前でしないといけないんだぜ?」
甲斐くんがちょっと不機嫌になって戸田に言った。
「わかってるよ・・・でもさぁ、どうしても覚えられないんだよ。何か覚える方法ない?」
「そんなの知らねぇよ!!自分で何とかしろよな!!」
さらに不機嫌になる甲斐くん。
・・・今までにない緊張感が漂う。
そこで最年長林山、提案しました。
「じゃあ・・・こうしよう。次からミスした奴は・・・残りの2人からビンタな。」
さらに緊張感が漂う。
「面白ぇじゃねぇか。よし!!やろう!!」
ノッてきた甲斐くん。
「えぇ・・・嫌だよぉ・・・。」
嫌がる戸田。
嫌がる戸田を無視し、このルールでネタ合わせを始めた。
・・・
・・・何度かそのルールでネタ合わせをしてみた。
最後の方まで失敗なく、このままゴールできるか?って時に必ずミスする人・・・いるんだよ。
わかる?この感じ。
例えば5人くらいでリフティングを100回続けさせようってゲームをするとさぁ、必ず途中から緊張して笑ってしまい、失敗する人いるでしょ?
この3人にもいるんだよ・・・そんなおっさんが。
それが・・・甲斐くん。
「・・・超痛ぇ!!お前ら手加減しろよな!!」
「ルールだし、仕方ないよ。な?戸田。」
「そうそう。ルールだから。」
俺と戸田、ニヤニヤが止まらない。
だって楽しいもん。
甲斐くん、セリフは覚えているんだけど・・・このルールにしてからよく噛むんだよ。
まぁー・・・プレッシャーに弱いおっさん。
「・・・はい。甲斐くんまた嚙んだ~!!」
戸田がいきいきしている。
「今のはなしだろ!?厳しすぎるって!!」
「そうだね。でもルールだからね。」
・・・バシッ!!
「・・・痛ぇよぉ!!もうやめよう!!」これじゃあ明日顔パンパンになっちゃうよ?パンパンに。」
「最初すげぇやる気満々だったのにさぁ。なぁ?林山。」
「そうだな。甲斐くんが嚙むからいけないんだよ。ほらほら・・・。」
・・・バシッ!!
「・・・うわぁぁぁ!!痛ぇ!!」
戸田がこのルールになってから1度もミスをせず、セリフも間違えず言えていることに驚いた。
こいつはそういうやつなんだなって思った。
こんなやり取りを夜中の厨房で延々続けている。
・・・バシッ!!
「・・・痛ぇぇぇぇぇ!!」
いよいよ明日は出し物の日だ。