回遊の人生楽笑ブログ

クスクス笑って頂ければ幸いです。

多良福シリーズ番外編 bar『ゲイ人』4

サンダーT

 

今日もいつも通り営業だ。

 

僕の名前は弾。

 

漢が好きだ。

 

漢のことで頭が一杯なんだ。

 

漢のそばにいれるだけで幸せを感じるんだ。

 

漢の・・・

 

「営業してる?」

 

漢以外誰も愛せない。

 

漢じゃなきゃ・・・漢じゃ・・・ん?

 

「あのぉ・・・営業してる?」

 

・・・お客さん?

 

「・・・ん?おぅ!!お前ら久しぶりじゃないか!!」

 

なれなれしいな・・・こいつ誰だ?

 

「失礼ですが・・・以前お会いしたことありますか?」

 

漢も知らないみたいだ。

 

・・・不審者?

 

「俺だよ俺。林山だよ。」

 

林・・・山・・・誰?

 

新たなオレオレ詐欺

 

「・・・失礼ですがどちら様ですか?」

 

もう1度漢が訪ねてみる。

 

「多良福で働いている林山だよ。ちょっと前に2人で店来ただろ?その時みんなで飲んだだろ?」

 

・・・確かにちょっと前に多良福に漢と行った。

 

そして最後に顔見知りだった店員と一緒に飲んだが・・・こんな『もやし』みたいなやついた?

 

やっぱオレオレ詐欺

 

「確かに多良福には行かせてもらいました。そしてみんなで飲みましたが・・・。」

 

漢の丁寧な対応・・・素敵だ。

 

「・・・わかったよ。あれだよ。あれ。」

 

・・・ん?

 

「アイムローリングサンダーだよ。」

 

「・・・あぁ!!あのTシャツの人!!」

 

僕と漢の声がハモった。

 

・・・嬉しい。

 

それは置いといて・・・あのダサい服・・・サンダーTか。

 

職業柄、僕と漢は人の顔とか名前を覚えるのは得意なのだが・・・存在感が全くない。

 

林・・・山だっけ?

 

林・・・谷だった?

 

まぁどっちでもいいか。

 

サンダーTがどうしてここに?

 

「林岡さん、今日はどうされたんですか?」

 

「林山ですけど。」

 

漢も僕と同じだ。

 

全く名前覚えられてない。

 

「失礼しました。林山さん、今日はどうされたんですか?」

 

「色々と考えたいことがあってな。」

 

・・・サンダーTのくせに考え事?

 

「存在感がないことを悩んでいるのですか?」

 

つい口から言葉が出てしまった。

 

「弾!!失礼だぞ!!気持ちは分かるが、そんなこと口にするな!!」

 

「・・・漢さん。あなたも結構失礼ですから。」

 

「失礼しました・・・林・・・谷さん。」

 

「林山です。」

 

漢・・・痛恨のミス!!

 

「まぁ・・・いいよ。ちょっとお酒飲んで考えたいから・・・ビールちょうだい。」

 

そういうとサンダーはタバコに火をつけ、一人物思いに耽っていた。