多良福シリーズ番外編 bar『ゲイ人』3
妄想は膨らむばかり
今日もいつも通り営業だ。
僕は弾。
漢の相棒・・・いや、パートナーだ。
パートナーって・・・結婚相手か!!
って自分で心の中でツッコんでしまった。
まぁ・・・いずれは・・・。
「いらっしゃいませ。」
1人で楽しいことを考えているとお客さんがやってきた。
今日のお客さんは・・・女性?
「あのぉ・・・まだ営業されてますか?」
「大丈夫ですよ。どうぞ。」
ほぼ毎回お客さんが店に入ってくると・・・『まだ営業してる?』って聞いてくる。
どうしてみんなこんなこと言うのか・・・僕は考えてみた。
お客さんが誰1人いないからかな。
Bar『ゲイ人』、1日の来客数が3人くらいだからね。
大概貸し切り状態になる。
何杯か飲んだ後、女性客は目をトロトロにし、漢に話していた。
「すっごく好きな人にフラれたの・・・今さっき別れようって言われてさ・・・。」
「それは大変でしたね。」
優しく相槌をうつ漢・・・抱きしめられたい。
「あんなに好きだって言ってくれたのに・・・なんでよ!!私じゃだめなの?」
涙を浮かべながら話す女性に相槌をうつ漢・・・抱きしめられたい。
「お気持ち察します。しかし、お客さん・・・こういう言葉をご存知ですか?」
漢の名言まで3秒前・・・2・・・1・・・ハイ!!
「恋をした後の最大の幸福は、自分の恋を告白すること(語ること)だ。」
名言を言い放つ漢・・・抱きしめてください。
「辛い思いをしたかもしれませんが・・・それを誰かに笑って言えるようになった時、幸福を感じるかもしれません。」
漢の言葉に女性は顔を両手で隠し、泣き続けた。
その後、会話はなくなり、泣き止んだ女性は勘定を済ませ、店を出た。
「弾・・・久しぶりに女性と1対1で話して気付いたことがある。」
「なんだい?」
「俺は・・・男が好きだ。」
あぁ・・・本当に男で良かった。
幸せを感じながら今日も1日が終わった。