回遊の人生楽笑ブログ

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甲斐くんと林山、たまに戸田。運命交錯編 22

人と人が繋がり・・・

 

※この話の語り手はある男になります。

 

「・・・おい漢(かん)。やっぱ手をつないで歩くのは・・・。」

 

「別にいいじゃないか。俺たち付き合ってるんだろ?」

 

「そうだけどさぁ・・・。」

 

「弾(だん)。恥ずかしいのか?」

 

「・・・周り見てみろよ。考えすぎかもしれないが、俺たちを見ていないか?」

 

「・・・違うさ。弾、あそこを見るんだ!!みんなはあいつを見て笑ってるのさ。」

 

漢の指さす方向を見る。

 

「アイムローリングサンダー・・・何だあのTシャツ・・・だせぇ!!」

 

ニヤニヤしながら漢がそのダサいTシャツを着ている男に近づいていく。

 

「あのぉ・・・すいません。そのTシャツ格好いいですね。」

 

漢が話しかけた。

 

ダサい男がご機嫌な笑みを浮かべ、漢に話しかけてきた。

 

「おっ!!そう思うか?俺の1番お気に入りなんだ!!」

 

「似合ってますよ。」

 

「ありがとう!!」

 

・・・

 

・・・

 

「1番のお気に入りだってさ。笑えるね。」

 

「あぁ。傑作だな。サンダーT。」

 

「漢・・・あの人見たら手をつなぐことで恥ずかしいと思ってた自分が情けなくなってきたよ。」

 

「そうだろ?笑われたら思い出そうぜ・・・サンダーTを。」

 

「そうだな。」

 

・・・

 

・・・

 

月日は流れた。

 

「おい!!弾!!どういうことだ?俺の目の前でナンパするってどういうことだよ!!」

 

「別に・・・ただ可愛い子に声かけただけだろ?」

 

「お前・・・連絡先も交換してたじゃないか!!」

 

「向こうもきっと俺たちと同じなんだよ。仲間ができるじゃないか。」

 

「違う!!」

 

「違う?何が違うんだよ?」

 

「あの子は俺たちと同じじゃない!!」

 

「そんなこと分からないだろ?それにこの際だから言うけど漢だって最近やたらと他の子にちょっかい出してるじゃないか。」

 

「何を言ってるんだ?俺は弾・・・お前だけだ!!」

 

「嘘だね。コンビニの店員にハマってるみたいじゃないか。」

 

「あれは・・・酔った勢いで・・・。」

 

「飲んでない時でもよくあのコンビニに行って話してるだろ?」

 

「・・・違う。」

 

「違う?あわよくば・・・みたいなこと考えてるんじゃないの?」

 

「誤解だ!!」

 

「・・・もう疲れたよ。」

 

「・・・弾。違う。お前の考えすぎだよ!!」

 

「考えさせるような行動取ってるのは漢だろ?」

 

「・・・。」

 

「何も言わないのかよ。・・・ちょっと俺たち距離を置かないか?」

 

「・・・本気か?」

 

「・・・そうだね。1人になって今後のこと考えたい。」

 

「・・・わかった。」

 

こうして俺たちは1度距離を置き、別々に生活していくことになる。

 

そしてさらに月日は流れた。

 

「弾・・・久しぶりだな。」

 

「漢・・・。」

 

「1人になった気分はどうだ?」

 

「・・・。」

 

1人は寂しかった。

 

「久しぶりに飯でも食いに行かないか?」

 

断る理由がなかった。

 

記憶に残らないような会話をしながら漢が最近見つけたという居酒屋に向かう。

 

看板にはこう書いてあった・・・『多良福』。

 

「最近見つけたんだよ。この居酒屋・・・『多良福』。見てみろよ・・・『仲直りのお手伝い・・・させてください。』だとさ。俺たちにピッタリじゃねぇか?」

 

「・・・。」

 

「さぁ・・・入るぞ。」

 

中にはお客さんが誰1人入ってなかった。

 

僕たちにとっては都合がよかったかもしれない。

 

中に入り、席に案内されるのだが・・・厨房(?)から人が数名出てきては消えていく。

 

「なぁ・・・漢。さっきから1つ気になることがあるんだが。」

 

「なんだ?」

 

「おそらく厨房の人がたまにホールに出てきては消えていくだろ?」

 

「そういえば・・・まぁ気にすることじゃないだろ。」

 

気にしないようにした。

 

ただ、頬を抑え、俺たちの前に現れた男を見つけると・・・僕と漢は声を合わせてこう言った。

 

「コンビニの子?」