回遊の人生楽笑ブログ

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甲斐くんと林山、たまに戸田。誕生編 20

何もない夏

 

「だいぶ涼しくなってきたなぁ。食欲の秋到来だな。」

 

俺林山35歳。

 

秋の気配を感じつつ、今年の夏の出来事を思い出していた。

 

・・・特になし。

 

「いや、待て!!何かあるはずだ・・・探せ!!探しまくれ!!俺の思考回路!!」

 

・・・

 

・・・特になし。

 

「お前・・・1人で何盛り上がってるの?」

 

甲斐くんいつの間にか来ていたようだ。

 

「何が『探しまくれ!!俺の思考回路!!』だよ。身振り手振りまでつけて・・・。」

 

・・・いやぁ参ったね。

 

ここ・・・見られちゃいます?

 

「えっ・・・そのぉ・・・あれだ。気にするな。」

 

説明しよう。

 

俺林山は1人でテンションが上がると1人芝居のような振る舞いをしてしまう癖があるのだ。

 

基本は家でしかしないのだが・・・気が緩んでしまった。

 

「何を思考回路さんに探してもらってたんだよ?」

 

「あのぉ・・・あれだ。今年の夏の思い出だ。お前も思い出してみろよ。今年の夏何したか。」

 

「なるほどね。ちょっと待ってね・・・。」

 

目を閉じ、大きく息を吸い込む甲斐くん。

 

「・・・探しまくれ!!俺の思考回路!!」

 

・・・気に入ってもらってありがたいわ。

 

「どうだ?見つかったか?」

 

「・・・いま探してもらってるから・・・。」

 

待つこと5分くらいかな。

 

甲斐くんの優秀な思考回路さん・・・思い出見つけてくれたみたいです。

 

「今年の夏は・・・たくさんアイスクリーム食べた。」

 

「つまんねぇ。」

 

「アイスじゃないんだぞ!!アイスクリームだぞ!!」

 

「つまんねぇ。」

 

続けて話しかける。

 

「要はあれだろ?今年の夏何もしてないんだろ?」

 

「・・・そうだな。林山ぁ・・・仕事しよう。」

 

「なぁなぁ。だったら今から思い出作ろうぜ。」

 

「どういうこと?」

 

「だから・・・。」

 

甲斐くんに説明する。

 

何をしたいのかって?

 

それはまだ言えない。

 

言いたいけど我慢する!!

 

「はぁ!?映画作るって?何言ってんの?」

 

あっさり甲斐くん言っちゃいました。

 

「なぁなぁ、楽しそうだろ?」

 

「でも普通に考えてできないだろ?」

 

「普通に考えるな!!妄想でも想像でもなんでもいいんだよ!!」

 

映画作りの妄想ごっこに対して熱く語る男林山35歳。

 

「なんだよそれ・・・楽しいのか?」

 

「楽しいかどうかじゃない!!思い出を作るのだ!!」

 

さらに熱が入っていく。

 

「わかったよ・・・やればいいんでしょ。」

 

「何だ?やる気ねぇなら帰ってしまえ!!ばかやろう!!」

 

さすがに言い過ぎた。

 

「すまん。言い過ぎた。」

 

即年下の男に謝る俺林山35歳。

 

「わかったよ。とりあえず作ってみようぜ。」

 

それからというもの仕事など全くせず、俺たち2人は映画作りの妄想を語る。

 

「・・・なるほどね。主演は俺と林山か。」

 

「そうそう。そして映画のキャッチコピーが『・・・仕事しよう。』」

 

「・・・林山。いい夏の思い出が作れそうだな。」

 

なんだかんだで乗る気になっってきた甲斐くん。

 

「だろだろ?でさぁ・・・」

 

俺らがさらにこの後この話で盛り上がったことは言うまでもない。

 

今年の夏1番の思い出になった。